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Ben L'Oncle Soul / Live Paris

51FmkW1QUrL__SL500_AA300_当ブログでは初のライヴ・リポート。ベン・ロンクル・ソウルの初来日公演@ブルーノート東京(19日:セカンド・ステージ)。凄かった。参った。先にファースト・ステージを観終えたお客さんも「ヤバい!」「凄い!」と興奮冷めやらぬ様子。昨年リリースのCD+DVD『Live Paris』に収録されたステージがあまりに素晴らしく、これを生で観たらブッ飛ぶだろうな…と思っていたが、期待通り、というか期待以上だった。

モータウン・フランスから登場したこの若きソウルマン(84年生まれ!)と出会ったのは、2010年に発表されたセルフ・タイトルの初フル・アルバム。モータウンやスタックスのサウンドを再現し、アートワークも含めて徹底的に60年代を模した、でも21世紀の空気もしっかりと吸っている彼の音楽に即魅せられた。近年のラファエル・サディークのアルバムに代表される、いわゆるレトロ・ソウル的なR&Bだが、懐古趣味を超えた何か…パッションが感じられて、ん~、これはちょっと(いい意味で)違うかも、と。

ライヴも同様。『Live Paris』(デラックス盤には2009年リリースのデビューEP『Soul Wash』も収録)の内容ともかなりダブるが、オリジナル/カヴァー問わず、モータウン、スタックス、アトランティックなどの50~60年代ソウルのグルーヴを再現しすぎなほど再現。ソウル・ミュージックが好きで好きで、もう我慢できません…といった感じ。主役のベンを含めて9名からなる専属バンドの一体感も見事で、正確にビートを刻むドラムス、各種エレピを使い分けてレトロな雰囲気を醸し出す鍵盤、鮮やかな音色で切り込むホーンズなど、ダイナミックなのにキメ細かな演奏がやたら刺激的で心地よい。そして何より印象的だったのは、ベンの両脇で歌い踊る2名のサイド・ヴォーカル兼ダンサー。彼らのスポーティなパフォーマンスがまたステージに躍動感を与えていて、ベンを含む3人で揃いのステップやダンスを披露する場面も楽しい。あと、フランス人のバンドらしく、ファッション・センスもよろしい。

カヴァーは、アルバムでもやっていたホワイト・ストライプス“Seven Nation Army”やナールズ・バークレー“Crazy”のほか、サイド・ヴォーカルのふたりがそれぞれリードを取ったテンプテーションズの“My Girl”(あの振りつきで!)とプリンスの“Kiss”。アンコール前にやったレイ・チャールズ“What’d I Say”では、盲目のレイの仕草をリスペクトを込めながら面白おかしく真似たりも。ベンのヴォーカルは、地声はジョン・レジェンドっぽいが、ジョンよりもずっとソウルフル。そこに、実際にライヴでも曲を取り上げているオーティス・レディングまんまの激唱(あのガッタガッタも)を織り交ぜ、ジェイムズ・ブラウンみたいな野性味を振りまきながら荒々しく歌い上げていく。それでも、客の煽り方などはラッパーのようでもあり、ただ往年のソウルマンの作法を真似ているだけではないように感じた。

お客さんは、下北沢あたりの中古レコ屋でソウルやファンク掘ってました系の音楽通にしてファッションにもちょっとウルさそうな方が多め(ベンのようなメガネ、蝶ネクタイ、サスペンダーでキメている人も)。だけどクールに構えて観るという人はほとんどおらず、コール&レスポンスも見事な一体感で、僕がこれまでブルーノート東京で観たライヴの中では最高のものだった。現時点で日本盤も出ていないフランスのアーティストの初来日公演であの反応は凄い。ベンのMCは基本英語だったけど、こんな才能が出てくるなら、学生時代、第二外国語で取っていたフランス語をもっとちゃんとやっておくべきだったと後悔(笑)。

この日はライヴ前後のDJがMUROさん。エボニーズがブッダから出した7インチ・オンリーの“Making Love Ain't No Fun (Without The One You Love) ”をサラッとかけたりとか、相変わらずセンス抜群、というか自分と趣味が合いまくり。いろんな意味でトレビア~ンな一夜でした。



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