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Essence Music Festival

Essence Festival 2013 観戦報告

EFESTIVAL13_LOGO_FINAL_Circle2013年は、たった1回更新しただけだった。本気でブログを閉鎖しようと思ったが、それでもEssence Festivalのライヴ・リポートは備忘録を兼ねて書いておきたい。2013年のうちには……と思っていたのが結局年を越してしまい、前日祭の〈Family Reunion Day〉のリポだけは書いたものの、それからアレやコレやで放置状態となり、気がつけば2014年も半年が終了。今年のEssence Fest.まで1週間をきったところで、さすがに行くまでには何とかせねばと思い、こうして久々にブログを書いている。
 まあ、そもそもライヴ・リポートが目的でフェスに行っているわけではないし、リアルタイムでFacebookやTwitterなんかに写真や映像を簡単なコメントとともにアップして、自分的にはそれでもう十分だったというのもある。とはいえ、とりあえず形だけでもやってくれという声も(ありがたいことに)少なからずあり、メモと薄れた記憶を頼りにまとめてみた。当初は例年通り座談会をするつもりだったが、まとめ役の僕が全く動けず、さすがに今からでは申し訳ないので、今年はTwitterの延長みたいな独り語りの雑記的な感じで。情報面も含め、かなりラフなリポートであることを予めお断りしておきます。
 Essence Fest.については、一昨年書いたコチラをお読みいただくとして。2013年からは、フェスの正式名称が、それまでのEssence Music FestivalからMusicが取れてEssence Festivalになった(なのでEMFという略語は使えない)。なんでも、音楽だけでなくブラック・カルチャー全体を包括したイヴェントにするということで、前日に〈Family Reunion Day〉みたいなイヴェントが加わったのもそういうことなのだろう。アフリカン・アメリカンの集いの場となるコンヴェンション・センターでの催し物も、それまでより若干グレードアップした印象を受けた。とはいえ、スーパードーム(Mercedes-Benz Superdome)で行われる3日間のライヴが中心であることに変わりはないし、自分にとってもそれが最大の目的であることに変わりはない。アーティストとのMeet&Greetとかは二の次。とにかくライヴそのものを楽しみたい。P1050460
 個人的にフェスへの参加は2013年で連続9回目。時間的・金銭的にかなり無理をしているが、R&Bの書き手としてこれほど収穫の多いイヴェントはないし、その年から翌年にかけてのシーンの動向みたいなものが掴めるので、ヘタに動き回るより、年一回、ニューオーリンズに飛んでしまった方が効率がいい。というわけで、2013年のEssence Fest.は、〈Family Reunion Day〉を含めて、7月4日~7日の4日間。リポートは以下からどうぞ。

Family Reunion Day:7月4日(木)
Day 1:7月5日(金)
Day 2:7月6日(土)
Day 3:7月7日(日) 

P1050885開催まで1週間をきった2014年のEssence Fest.(7月3日~6日)。今年はフェスが20周年、個人的には参加10年目という節目でもあり、感慨深い。出演者もここ数年ではダントツで豪華で、ランナップを見ているだけでもクラクラする。初日のメイン・ステージで行われるプリンスのショウ(ナイル・ロジャースも参戦! 前座扱いでジャネル・モネイ)から凄いことになりそうだ。個人的には、今やEssence名物のメアリー・J.ブライジやチャーリー・ウィルソンはもちろん、エリカ・バドゥ、ジル・スコット、レディシが揃って出演するあたりにも胸が熱くなるし、ジャギド・エッジ、112、デイ26といった男性ヴォーカル・グループ、それにセバスチャン・マイケル、セヴン・ストリーター、オーガスト・アルシーナ、キング、リヴ・ウォーフィールドのような新進気鋭もしくはインディ・アーティストのショウにも胸躍る。去年ドタキャンしたデイリーも今年は観られるか。同じく今年出演するマーシャ・アンブロウジアスとの“Alone Together”は、ぜひ生で観たいところだ。あとは復活したテヴィン・キャンベル。ザ・ルーツとテイマー・ブラクストンがメイン・ステージというのも凄いな。ワケあってミシェル・ウィリアムズも観ないといけない(笑)。ケリー・プライスも追加ときた! このぶんだと、ラヒーム・ディヴォーン、リーラ・ジェイムズ、SWV、エステル、エル・ヴァーナーあたりはパスしないといけないかな(何て贅沢な!)。ステファニー・ミルズも、もう一度じっくり観たいが。ライオネル・リッチーのショウを優雅に観ている暇はなさそう。せめて“All Night Long”だけでも……。
 P1050436さらに前日の〈Family Reunion Day〉にはエリカ・キャンベルやウェイナ、フル・フォース(!)が出るうえ、スーパードームでの前夜祭にはジャズミン・サリヴァン、K・ミシェル、ジェシー・ボイキンズIII、トレイ・ソングス、そしてナズが出演と、体が3つくらい欲しくなるほど。楽しみというより、どう動き回ればいいか、今から頭を悩ませている。今年のレポートは、やるとしたら大変そうだなぁ。



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Essence Festival 2013:Day 3(7/7)

Flag【Main Stage】
TGT
(Tyrese/Ginuwine/Tank)(8:00PM)
Janelle Monae(9:10PM)
Beyonce(10:30PM)


【Super Lounge】
Coca-ColaMia Borders(7:30PM) Rachelle Ferrel(8:20PM&9:35PM)
McDonald / 365Black Awards:Luke James(7:05PM) Tamia(8:10PM&9:25PM)
FordDaley(7:00PM) Kourtney Heart(8:00PM) Mint Condition(9:15PM)
Covergirl(Curated by Janelle Monae):Alice Smith(7:45PM) Marsha Ambrosius(9:00PM)
※時間は当初の開演予定時間です。


■悲喜こもごものラウンジ
Michelle最終日。この日の昼はコンヴェンション・センターも盛り上がっていて、Essence誌の特設ステージではミシェル・ウィリアムズが司会を務めるトーク・イヴェントみたいなのがあって、自分が行った時はSWVがステージを後にするところだった。あと、Walmartのブースではラヴォーンのミニ・ライヴとサイン会が。ラヴォーンはサントラ『Think Like A Man』に収録されRavaughnた“Same Ol' BS”が評判で、アルバムも待たれているんだけど、ここでは“Better Be Good”を熱唱。ワーレイはいなかったけど。この人はショート・ヘアがデビュー時のトニ・ブラクストンを思わせて、何となく懐かしい気分にさせてくれる。初々しくていい。アルバムが一向に出ないのが心配ではあるけれど。

Daley?で、スーパードームでの本番。まず向かったのはラウンジで、デイリーの会場へ。デイリーはマーシャ・アンブロウジアスとの“Alone Together”がR&B系のラジオ局でヘヴィロテされていたこともあって、早い時間なのに結構な数のお客さんが集まっていた。UKはマンチェスター出身の白人シンガーだけど、若い黒人女性からの支持が厚い。が、開演時間になっても、なかなか始まらない。しばらしくして、「デイリーは遅れてるので、もう少し待って」というアナウンスがあり、DJタイムとなったのだが、30分経っても出てこず。Daleyがdelay……っていうのは駄洒落だけど、個人的には彼が今回の目玉のひとつだったし、別の時間にラウンジでショウがあるマーシャとのデュエットもあるはずと期待していたので待ち続けていたのだが、ふと彼のTwitterを見たら「今日のロンドンはいい天気だ!」とか呟いていて、ツイートを遡ると数日前に「Essence Fest.には行けなくなった」と呟いていた……。そもそもニューオーリンズに来ていなかったのだ。それなのに、それを知らせない主催者の何と悪質なことか。2014年にリヴェンジで出ることになったが、個人的には今回の恨みがあるので(笑)、相当いいショウをやってくれないと納得しないぞ。
Luke というわけで諦めてルーク・ジェイムズの会場へ。2年連続出演で、去年のリポートにもあるように、この人は本当にガッツリ歌えますね。アルバムまで時間がかかっているけど、2014年に入ってからはリック・ロスをフィーチャーした“Options”も出したし、早いところアルバムを出してほしい。こういういいシンガーに限ってリリースが頓挫したりするから。

Mia続いてもラウンジで、ルークと同じニューオーリンズのアーティスト。ミア・ボーダーズという女性シンガー・ソングライターで、R&Bというよりは、昔ながらの南部らしいカントリー寄りのオルタナティヴなソウルというか。この人のアルバムはチェックしていなかったので、何の曲を歌っていたのかわからなかったけど、こういうルーツ・ミュージック的な人をEssence Fest.で観ると妙に落ち着いたり。数曲で会場を離れちゃいましたが。
 その次にラウンジで観たアリス・スミスも、また別の方向のオルタナティヴなAliceR&Bシンガーというか、2013年にサイエンスらの制作で出したアルバム『She』でジェイムズ・ポイザーが鍵盤を弾いていたこともあって注目していたんだけど、ヴォーカルはCDで聴くよりエモーショナルで、しばらく聴き入っていた。後で知ったのだが、この人、ポイザーも関わっていたメンフィスのブルース・ロック系シンガー、シチズン・コープの奥さんだったそうで、なるほどと。

■遂にTGTが!
TGTメイン・ステージの一発目はTGT。去年はタンクのショウにタイリースが飛び入りして、「TGTを期待しててくれ!」という感じで終わったわけだが、今年はTGTとしてアルバム発表直前のライヴ。まず、3人それぞれのソロ・ステージで、最初に出てきたタンクはサイド・ヴォーカルにロニー・ビリアルを従えてガッツリ歌い込む。やはり盛り上がるのは“Please Don't Go”、かな。続いてジニュワイTankン。この人は、やっぱり“Pony”。でも、あの頃のわんぱくな印象はない。99年にNYの[アポロ・シアター]で彼のライヴを観たことがあるのだけど、あの時の全身性器みたいないかがわしさもなくて、何か普通に気のいい兄ちゃんというか。特にタンクの後だと余計にそう感じる。そしてタイリース。登場した時の歓声は圧倒的で、タンクの2倍、ジニュワインの3倍。俳優やってる人はやはり凄いと、改めて。曲は“Stay”が盛り上がる。そうして3人それぞれがソロ曲を2Tyrese~3曲歌い終えてからTGTとしてのショウが始まったんだけど、「これから“スリーメン・グループ・トリビュート”をやる。みんな、ジェラルド・リヴァートは好きか?」と言うから、リヴァートの曲を歌うんだ!と思ったら、歌ったのはベル・ビヴ・デヴォー“Poison”とガイの“Piece Of My Love”だったという。まあ、会場は大盛り上がりですけど。その後、ローズ・ロイスの“I'm Going Down”をメアリー・J.ブライジよろしく観客に合唱させて(笑)、結局、TGTのオリジナルは“Sex Never Felt Better”だけ。TGTの曲をライヴで披露できるほど、まだ歌い込んでいなかったのかな? 何だかアッサリなステージで、肩透かしを食らった。

Monetその次にメイン・ステージで観たのがジャネル・モネイ。数年前まではラウンジで控えめにショウをやっていた彼女も遂にメイン・ステージに昇格。〈Covergirl〉のラウンジのキュレイターを務めるくらいだし、本当にビッグになった。彼女も新作『The Electric Lady』を出す直前のライヴで、ロックン・ソウル的なショウを繰り広げてくれたのだけど……実はこの時、同伴者が客席でスリの被害に遭い、あまりライヴに集中できなかった。9年間Essence Monet 2Fest.に行っていて、これまではこういうことがなかったので驚いたが、悪質というか陰湿な嫌がらせをするヤツがいるもんで、僕自身が被害に遭ったわけではないが、改めて気をつけないと!と思った次第。普通に観ていれば危険なことは(軽く人種差別を感じる以外)ないが、やはり油断はできない。

Tamiaラウンジではこの前後にラッシェル・フェレルとコートニー・ハートもあったがパスし、ミント・コンディションを少しだけ観てタミアのステージへ。タミアを生で観るのは今回が初めてだったのだけど、運よく、聴きたかった曲の時に居合わせることができた。ひとつはクインシー・ジョーンズのアルバムで披露していた“You Put A Move On My Heart”(もとはミーシャ・パリスが歌っていたもの)。満員のラウンジ、予想通りの大合唱。この人はレコード通りにキッチリと力強い美声で歌ってくれる。もうひとつは最新作『Beautiful Surprise』のタイトル曲。これはバック・コーラスの女性と一緒に振り付きで歌ってくれた。数曲しか観られなかったけど、タミアは初日のエイヴリー・サンシャインと並ぶ今年の収穫だった。
 しっかり歌えるといえば、昨年に続いて出演したマーシャ・アンブロウジアス。デイリーが来ていれば、どっちかMarshaのステージで“Alone Together”の共演が実現していたのに……なんてことを思いながら向かったラウンジ。行ってみれば超満員。いろいろバタバタしてて少ししか観られなかったんだけど、この人は年々大物感を増していて、観客の声援もハンパない。ソプラノ・ヴォイスでの熱唱、シャウトの凄いのなんの。“Say Yes”とかを聴くと、やっぱりフロエトリーはマーシャがいてこそだったのかな?と思ったり。随分待たされている新作『Friends & Lovers』も楽しみ。2014年にも出演が決定しているが、次はデイリー(彼も出演予定)とのデュエットが聴けるか。

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Essence Festival 2013:Day 2(7/6)

Billboard【Main Stage】
Solange
(6:30PM)
Keyshia Cole(7:35PM)
Trey Songz(8:35PM)
Charlie Wilson(9:40PM)
New Edition(11:30PM)


【Super Lounge】
Coca-ColaAvery*Sunshine(7:00PM) Bridget Kelly(8:00PM) Faith Evans(9:05PM)
McDonald / 365Black AwardsGreta Prince(7:10PM) Leela James(8:00PM) Jody Watley(9:25PM)
FordPJ Morton(7:35PM) F.Stokes(8:30PM) Big Daddy Kane(9:10PM&10:25PM)
Covergirl(Curated by Janelle Monae):Deep Cotton,Roman GianArthur,St.Beauty(7:20 PM) Bilal(9:15PM)
※時間は当初の開演予定時間です。


■圧巻だったエイヴリー・サンシャイン
Solange2日目。この日のメイン・ステージは早めの開演で、ソランジュから。これまではラウンジに何回か出ていて、白人男性のバンドをバックにスウィンギン・ロンドンを気取ったようなスタイリッシュでアーティスティックなショウをやっていて、いい意味でラウンジで十分と思っていたのだけど……メイン・ステージに昇格。姉のビヨンセが最終日の大トリだから、ってのは関係ないと思うが。彼女の場合、2枚目のアルバムでレトロ・ソウルみたいなのをやっていて、これまではそれを軸にしたライヴだったんだけど、デヴ・ハインズと組んで2012年に出したEP『True』でエレクトロとかインディ・ロックっぽいことをやり出して、また別の方向に行っちゃった。“Losing You”とかはマドンナみたいなSolange 2ダンサブルなエレクトロ・ポップだったし。なので、リアーナみたいな感じでメイン・ステージが似合ってはいるけど……時間も早かったし、客席の反応は厳しかったかな。自主レーベルで彼女が監修したコンピ『Saint Heron』も含めて、音楽的な意欲とか広がりみたいなのは、おお!と思うんだけど、Essence Fest.のような会場では盛り上がらない。

Averyラウンジ一発目として観たのは、個人的に一番楽しみにしていたエイヴリー・サンシャイン。2010年に出した“Ugly Part Of Me”がジワジワと売れて、言ってみればジル・スコットとレディシのいい部分を合体させたようなシンガー/ソングライターなんだけど、彼女は期待通り、いや期待以上。坊主頭も印象的で、シンセサイザーの前に腰掛けて、目と口をまるまると開きながら愛らしく剛柔自在に歌いまくる姿がたまらない。MCで「今日はママが観に来てるのよ~。ハッハッハァ~」とか言いながらデカい声で喋りたてる彼女は教会のプリーチャーみたいというか。“Ugly Part Of Me”は当Avery 2然合唱になったけど、最後に演ったアニタ・ベイカーの“Sweet Love”ではこれでもかとキーを上げ、ガンガンにアドリブをかまして熱唱。ダニー・ハサウェイに憧れているみたいで、弾き語りのスタイルはダニーっぽいイメージもあった。この時点で早くもMVPは彼女に決定。10年くらい前、クリス・ブランのアナンダ・プロジェクトに曲が取り上げられて、それがキッカケで来日して〈メタモルフォーゼ〉で歌ったこともあるみたいだけど、改めてソロで来日してほしいな。
PJあと、この時間帯のラウンジでは、2年前にEssenceFest.主催のコンペティション〈R&B Star Search〉で優勝したグレタ・プリンスとか、〈Covergirl〉ステージでは、昨日に続いてジャネル・モネイ一派のディープ・コットンとかのライヴがあったんだけど、それはパスしてPJモートンの会場へ。PJをEssence Fest.で観るのは2度目。今年はYMCMBから新作『New Orleans』を出した直後ということで、アルバム・タイトルがそのものだし、観ないわけにはいかないという。さすがに前回よりお客さんも増えていて、これまで以上にR&Bシンガー然としてたかな。盛り上がったのは、曲が浸透しているせいか、前作『Walk Alone』収録の“I Need Your Love”とかだったかな。


■レディ・ソウル勢の快演とビラルの怪演
Keyshiaソランジュに続くメイン・ステージは、去年に続いて2年連続出演となるキーシャ・コール。キーシャは、Essence Fest.において今やメアリー・J.ブライジと同じくらいに欠かせない存在になっている。ステージは去年とそれほど変わりなく、新曲を交えながらも、いい意味で“お約束”。ソウル・クラシックスのメドレーにしてもそうだし、“Love”や“I Remember”で盛り上がるあたりも含めて。わりと踊るので、歌がついていってない感じもあるけど、そういう雑なところも含めてキーシャかな、と(笑)。
 Leelaこの後、ラウンジで観たのがリーラ・ジェイムズ。彼女はデビューした時の初来日公演が印象的で、チャーチ・ルーツを剥き出しにした絶唱に打ちのめされたけど、インディとメジャーを行き来してる間にさらにタフになって、やさぐれた雰囲気さえ感じさせる(笑)。ヴォーカルも怒号のよう。クラシックなソウルとか黒人としてのアティテュードを追求しようとするがあまり、非黒人が黒人に憧れて昔のソウル感を出そうと腐心しているのに似て、ちょっと重いというか、トゥーマッチだったりもする……。それだけにローリング・ストーンズの“Miss You”なんかを歌うとしっくりくるのだけど。
Treyラウンジではブリジット・ケリーとかF・ストークスのショウもあったけどパス。一方、メイン・ステージはトレイ・ソングスだったが、彼はしょっちゅう出てることもあって、これまたパス。ただ、今の彼がR・ケリーを追う存在になっていることは確かで、デビュー時に故アーメット・アーティガンが「オーティス・レディング以来となるアトランティックの逸材」と大袈裟な賛辞で送り出したことも、今となっては、間違いじゃなかったかも……と思ってしまうほど。次はちゃんと観ておこうと思う。
 Faithその後、ジョディ・ワトリーやビッグ・ダディ・ケインを泣く泣くパスして、ラウンジで観たのがフェイス・エヴァンス。さすがに超満員で、前半の“You Used To Love Me”とか数曲だけ観て移動しちゃったんだけど、後で訊いたら自分が移動した直後に“Soon As I Get Home”でケリー・プライスが飛び入りして熱唱したという……帰国後にYouTubeの映像を観たけど、これは悔しかったなぁ。
Bilalフェイスを短時間で出ちゃったのは、同時進行でビラルのステージがあったから。しかも、このステージ、バンド・メンバーにフィリー在住の日本人ギタリスト宮崎大氏(今年のグラミー賞では、バンド・メンバーとしてだが、タイ・トリヴェットの新作で2冠に輝いている)とスティーヴ・マッキー(ドラムス)が参加しているというので観逃せなかった。〈Covergirl〉のステージで、ジャネル・モネイがビラルを紹介するってのも不思議な感じがしたけど、エキセントリックな音楽性はモネイと相通じているとDaiいうか。最新作『A Love Surreal』からも何曲か披露してくれて、メロウでサイケな音空間を生み出していた。ビラルの気取り方はプリンスとかモーリス・デイの雰囲気そっくりですね。宮崎大の超絶ギター・ソロもあったけど、あれがどの曲だったか、ちょっと思い出せない。一番盛り上がったのは初期の“Sometimes”。これが大合唱になって、そうなのかぁ、と。

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soul_ringosoul_ringo  at 23:20トラックバック(0) この記事をクリップ! 

Essence Festival 2013:Day 1(7/5)

初日イメージ【Main Stage】
Brandy
(7:00PM)
LL Cool J(8:05PM)
Jill Scott(9:25PM)
Maxwell(11:00PM)

【Super Lounge】
Coca-ColaShamarr Allen and The Underdawgs(7:10PM) Blackstreet(8:35PM&9:50PM)
McDonald / 365Black AwardsMaya Azucena(7:25PM) Simphiwe Dana(8:15PM) Les Nubians(9:20PM)
FordMali Music(6:55PM) Emeli Sande(7:45PM) Anthony David(8:55PM&10:05PM)
Covergirl(Curated by Janelle Monae):Deep Cotton,Roman GianArthur,St.Beauty(7:10 PM) Chrisette Michele(9:05PM)
※時間は当初の開演予定時間です。


■スタートは初出演のブランディから!
Brandyもう年を越しちゃいまして、1年ぶりに振り返るEssence Festival 2013ですが、まあ、今回は時間も経っちゃいましたし、その後の動きなんかも交えて、ユルくひとり語りを。序文でも触れているけど、今年からフェスの名前がマイナー・チェンジして。前年までの違いといえば、フェス前日に〈Family Reunion Day〉があったことくらいかな。
初日のメイン・ステージのトップバッターは意外にもEssence Fest.初登場というブランディ。本人がライヴの冒頭で言っていて気づいたんだけど(笑)。3月に来日公演も観ていて、“What About Us”から始まる展開も含めて、その縮小版って感じだったと思う。80年代の滅法歌えるファンク・バンドの女性シンガーみたいだなぁと思っていたけど、デビューから約20年経ってEssence Fest.の大舞台を踏める貫禄がついたというか。“Best Friend”とか“Baby”“I Wanna Be Down”といった初期の曲を歌うと特にそう感じる。それでいながら今の若手と張り合えるフレッシュさもある。最新作『Two Eleven』のBrandy 2曲ももちろんやって、最後が“Put It Down”だったかな。でも、ハイライトは来日公演でもやったホイットニー・ヒューストンのメドレー(“I'm Your Baby Tonight~How Will I Know~I Wanna Dance With Somebody”)。こういうのはEssence Fest.に限らずだけど、受けますね。
 早い時間のラウンジではインディや新人の、わりと地味目なところ……と言っては失礼だけど、自分的に注目のアーティストが多かった。6時台からやってたマリ・ミュージックは、ゴスペル盤だった2009年の『The Second Coming』も聴いてて、観ておきたかったんだけどスルーしてしまい……後悔。世俗に転向して出した“Beautiful”が、ここまで注目されるとは思わなかった。2014年に出された新作『Mali Is…』は、ミゲルと同じマーク・ピッツのバイストーム/RCAからで、まさにミゲルとジョン・レジェンドを合わせたような雰囲気。
Mayaで、この時間帯でまず観たのがマヤ・アズセナ。アズシーナと読むらしいけど、まあ、どっちでもいいや。2003年の『Maya Who?』から10年経って、ようやく初出演。彼女はぜひ観たかった人なんだけど、まず驚いたのが、小柄だと思っていたら大柄だったこと(笑)。となれば、CDで聴けたパワー・ヴォイスも納得ってなもんで、実際にナマの歌もその通りだった。僕がフルで聴いて一番印象に残ってるのは“Fearless”という曲。これは秋に出すニュー・シングルということもあって、かなり力が入っていた。バンド・サウンド映えするソウルフルなHoney声。お客さんは少なかったけど、バック・コーラスにハニー・ラロシェルがいたのは得した気分だった。彼女、冬にロバータ・フラックの来日公演に同行したんだけど、2013年に出したアルバム『The Yes Feeling』がオーガニックな好盤だったから、マヤとの相性もいい。終演後は会場をウロチョロしてたけど、赤毛だから凄く目立つ(笑)。


■充実のラウンジ。ブラックストリートも登場!
Emilieエミリー・サンデーもラウンジで。UKからのアーティストということもあって、エステルに近い盛り上がり方だったかな。でも、彼女がエステルと違ったのは、初出演にしてラウンジが超満員だったこと。しかも合唱になる率が高い。アメリカでは『Our Version of Events』って大ヒットというほどヒットしてないと思うんだけど、“Next To Me”は、さすがに人気でしたね。US R&Bのノリとは違うUKらしいポップ・ソウルで、個人的には心の底からはのめり込めないタイプなんだけど、アメリカでここまで受け入れられていてちょっとビックリだったかも。
 そんな中、メイン・ステージはLLクール・Jだったんだけど、すみません、これは完全にパス。彼のステージは、ニュー・エディションと同じで、昔と変わらないアイドル的な盛り上がりを見せるEssence Fest.の名物のひとつなわけだけど、それよりもラウンジで行われCovergirlる新人のR&B系アーティストを観たくて。で、向かったのがラウンジの〈Covergirl〉というステージ。ここでは3日間にわたってジャネル・モネイがキュレーターを務めて気鋭のアーティストを紹介するということで、初日は、モネイ所縁の面々が1時間半近くのステージをシェア。男性二人組のディープ・コットン、女性デュオのセイント・ビューティ、そしてローマン・ジャンアンサーの3組で、つまりモネイを筆頭とするワンダランド・アーツ・ソサエティに属する面々ですね。特に男性の2組は『The Electric Lady』の裏方としても大きく関わっていて、その発売前だったこともあり、顔見せという感じだったんでしょう。他のラウンジも回りつつだったので、結局ディープ・コットンしか観ていないのだけDeepど、これが正直キツかった(苦笑)。ネイト・ワンダーとチャック・ライトニングのふたりで、もちろんジャネルは開演前のMCで大絶賛するわけだけど……ライヴは自己陶酔系のブラック・ロックというかエキセントリックで、ジミ・ヘンドリックスが部屋にこもってモゾモゾやってる感じ(笑)。彼らがウェブ上で発表した『Runaway Radio』っていうミックステープは『The Electric Lady』の裏盤的な楽しみ方もできる好作品でしたが。
 で、同じ頃にやってたのが、南アフリカのシンフィウェ・ダナ。南アフリカの女性シンガーはいい人が結構いるのに話題になりにくい。2014年に米国デビューしたリラなんかは2010年に南アのワールドカップのコンピにも収録されて知られていた方だけど、実はリラとも縁のあるシンフィウェはワーナーでアルバムを出していたDanaのにチェックしていなかった。まとめて語るのも乱暴だけど、南アの女性シンガーはジャズの影響が色濃く、声が清らかというか、レッタ・ムブールの系譜を受け継いだような人が多い。ただ、USのR&Bシンガーと比べると線が細く、このシンフィウェも“超内気なジャネット・ジャクソン”といった感じだった。残念ながらお客さんもほとんどいなくて、彼女にとっては辛いアメリカ体験となったかもしれない。

Blackstreetそして、この時間帯で一番観たかったのは、やはりブラックストリート。さすがに本国でのブラックストリートは観てみたい。ただ、今のブラックストリートはBS2(Blackstreet 2)。どこぞの衛星放送みたいな名前ですが、テディ・ライリーを除いては新メンバーという。J・スタイルズ、レニー・ハロルド、トニー・タイラーがその新メンバーで、デイヴ・ホリスターDaveが名誉メンバー的な形で加わるという感じなのかな(2013年末に来日することになるメンバーでもある)。個人的な印象では、一番イケメンというかヤンチャな感じのレニー・ハロルドが目立ってたような気がするけど、優等生的なルックスのトニー・タイラーが結構ガンガンに歌うのがよかったかも。Teddy途中でデイヴ・ホリスターが出てきてから会場が一気にヒートアップ。“Before I Let Go”でバリトン炸裂、テディのトーク・ボックスも、ロジャー“I Wanna Be Your Man”を交えながら炸裂。これは普通にたまらなかった。

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Essence Festival 2013:Family Reunion Day(7/4)

Family今年もEssence Festivalに行ってきた。毎年、フェスの前日もしくは前々日にニューオーリンズ入りするようにしているのだが、今年も前々日に現地入り。というのも、本番前日に野外フリー・コンサートがあったから。昨年はディギー・シモンズなんかが出た前日のプレ・イヴェント〈New and Next〉(若手や新人アーティストの紹介を目的としたコンサート)が評判を呼んだからなのか、今年はさらに大がかりなイヴェントを仕掛けてきた。

〈Family Reunion Day〉と銘打たれた今回のプレ・イヴェントは、家族や同胞がそのルーツを確かめ合うことを目的として、同時に7月4日のアメリカ独立記念日をお祝いしましょうというもの。おそらくEssence Fest.では初めてとなる試みだ。会場は、ミシシッピ川沿いの広場、ウォールデンバーグ川岸公園。コンサートをメインの催し物として、周囲でクッキング・コンペティションやバーベキュー、ゲームなどが行われ、キッズ広場も設けてある。511入場は無料で、Essence Fest.を観にやってきた人たちだけでなく地元の人たちも家族連れで楽しむことができるようにした、ニューオーリンズ市あげてのイヴェント。Essence Fest.開催をキッカケに若い世代に(ブラック・)カルチャーを伝えていくという目的もあるのでしょう。もちろん、参加者は、Essence Fest.の会場がそうであるように99%がブラック・ピープル。
 

コンヴェンション野外イヴェントは午前11時からということで、その前に、近くのコンヴェンション・センター(Ernest N. Morial Convention Center)で行われているフェスのオープニング・セレモニーに出席。会場に着くと、いきなりマスター・Pが息子ロミオと娘シンフォニークの3人でステージに登場し、驚く。そして、ここがニューオーリンズであることを改めて実感する。P1050495野外イヴェントと連動し、“家族の絆”をテーマにマスター・P親子が終日ホストを務めるということで、地元を代表する模範的なファミリーとして親子ともども優等生的なスピーチを行っていた。内容はよくわからなかったが。

本会場のウォールデンバーグ川岸公園に移動すると、ライヴ前のステージでサウンドチェックをやっていた。そのときちょうど流れてきたのが、メイズの“Golden Time Of Day”。P1050515ミシシッピ川沿いで、午前の温かな日差しを浴びながら大音量で聴くメイズ……これはたまらない。このライヴ・ステージと背中合わせになっていたのがクッキング・ステージで、ここで料理(ソウルフード)コンテストが行われた。実は早い時間はライヴよりこちらのクッキング・ステージの方が盛り上がっていて、コンテスト出場者の自慢のソウル・フードをタダで食べられるとあって大行列。けれど、自分の目的は夜まで続くコンサート。有名・無名あわせて10組近くのアーティストのライヴが観られる、しかも多くは日本に来たことがない人たちということで希少価値も高い。ライヴの主な出演者は次の通り(順不同)。


Gina Brown、Brass-A-Holics、Tweet、Water Seed、Stooges Brass Band、Biz Markie、Doug E.Fresh、Cupid...

P1050503


アーティストひと組につきパフォーマンス時間は40分~1時間程度。早い時間帯には、上記以外にも地元の若手ヴァイオリニスト、苦節ン十年なブルース・シンガーなどジャンル問わずいろいろ出てきたが、個人的に観たかったのはトゥイートとウォーター・シード。結局、どちらともフルで観ることができたが、軽くアルコールの入った状態で、ライヴ・リポなんか書くつもりなく観ていたので、以下、ユルい雑記になります。

P1050536R&Bファン的に、まず目に留まったのはジーナ・ブラウンというニューオーリンズをホームとしている女性シンガー。2012年に『G's Spot』というサザン・ソウルの伝統を受け継いだアルバムを出していて、ちょっとハスキーで情熱的な声がグラディス・ナイトなんかとも比較されている(というより80年代以降のティナ・ターナーに近いかも)。普段はアナザ・レヴェル(Anutha Level)というバンドを率いて活動しているようで、今回もそのバンドとともに登場。青字で「GB」と書いてある黄緑のTシャツを着て、大きなお尻とふくよかな胸をブルンブルンさせながら歌うわけですが、そんなダイナマイト・ボディから繰り出される歌声はゴスペル上がりの南部女性らしいパワフルで包容力のあるそれ。アレサ・フランクリン“Rock Steady”のカヴァーが実によく似合う。ルーファス&チャカ・カーン“Sweet Thing”でもブラック・ピープルのお客さんのハートをガッシリと掴んでいた。HBOのTVドラマ・シリーズ『Treme』にアーマ・トーマスのバック・シンガーとして出演したこともあるようで、なるほど。

その後、順番は前後するが、2組のブラス・バンドを観た。P1050626いや、あまりちゃんとは観てなくて、その場に居た、という感じだったのだが。ひと組はストゥージズ・ブラス・バンド。ニューオーリンズ音楽ファンにはそれなりに知名度があるバンドで、スタジオ・アルバム1枚とライヴ盤を出している。まともに聴いたことがなかったので、シャープな音を出す、ガッツのあるバンドだなぁ……という程度の感想しか出てこない。個人的に興味を惹かれたのは、もうひと組のブラス・ア・ホリックス。ブラバンとゴーゴーを合体させた“ゴーゴー・ブラス・ファンク”を標榜して2010年に結成されたバンドで、ニューオーリンズの無料音楽誌『offBEAT』で今年のEssence Fest.を特集していた号の表紙を飾り、3ページにわたって大々的に特集が組まれていたこともあって気になっていたのだ。しかも、キーボード(オルガン)はケイコ・コマキさんという日本人女性。故マーヴァ・ライトのバックでも演奏していたことがあるという。P1050542ゴーゴー×ブラバン。まあ、兄弟みたいな関係にある両者だから親和性は高く、彼らの曲は全然知らなかったけど、とてもファンキーで力強く、チャック・ブラウンのライヴを観ているような感じで踊って楽しんだ。今後、彼らには注目していきたい。

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soul_ringosoul_ringo  at 23:30トラックバック(0) この記事をクリップ!