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The Alexander Green Project - Kaimbr & Kev Brown

Alex Green気がつけばGW(ゴールデン・ウィーク)も、もう終わり。ありがたいことに今年も僕はGolden Workでした。急遽来日が決まった某大御所グループのパンフ原稿の執筆などで自宅カンヅメ状態。ノンキにブログ書いてる場合じゃないですよ…というメールに怯えつつ、ひっそりと更新します(笑)。取り上げたい新譜・再発も溜まる一方で…でもライナーノーツや雑誌でレヴューを担当したものは発売/発行される前にここで書いちゃうのもアレなので、それらを避けて、今回はちょいと変化球で。

ご存知の方もいると思うが、この4月からウルトラ・ヴァイヴでハイ・レコーズの再発プロジェクトが始まった。9月までハイの名盤・珍盤を毎月10タイトルずつ最新デジタル・リマスタリングでリイシューしていくシリーズで、監修は、お馴染み鈴木啓志さん。当初はライナーも全て鈴木さんの予定だったらしいのだが、光栄にも僕のところにヘルプ要請がきたので、うち数枚を担当することに(鈴木さんファンの方、ゴメンなさい)。現在のところ5月・6月発売分のアル・グリーン(『Gets Next To You』『I'm Still In Love With You』)とアン・ピーブルズ(『Part Time Love』『I Can't Stand The Rain』)の計4枚を僕が書くことになった。で、改めてそれらを聴き直すと、同じハイ(・リズム)の音でも1~2年の差で随分違うなぁと感じたり。71年頃まではソリッドでファンキー、72年以降はニュー・ソウルの影響もあってか丸みを帯びてレイドバックした音になる。これも全てはプロデューサーのウィリー・ミッチェルの仕業。

で、ハイの作品といえば、ヒップホップやR&Bの曲で頻繁にネタ使いされていることでも有名。“I'm Glad You're Mine”はブレイクビーツの定番で…なんて話はヒップホップ・リスナーにとっては耳タコでしょう。そういえば、クエストラヴらがバックアップしたアルの2008年作『Lay It Down』は、ヒップホップ(DJ)的視点で過去の楽曲を見つめ直して演奏することで、当時のミュージシャンが往年のハイ・サウンドを再現するよりもリアルにハイの音が再現されたアルバムとなっていた。一方、シンガーとしてのアル・グリーンもマーヴィン・ゲイやスティーヴィ・ワンダーなどと同じく常にオマージュを捧げられる対象になっていて、あの甘く官能的な歌声を真似てみせる人も多い。なにしろオバマ大統領までもがアポロ・シアターでの演説中に“Let's Stay Together”のワンフレーズを歌っちゃったくらいで。…と、そんなことを思い出しながらライナーを書いていたんだけど、そこで取り出して聴き直したのが、ちょうど1年くらい前にリリースされて購入していたアレクサンダー・グリーン・プロジェクトなるアルバム。

首謀者は、東海岸ヒップホップの良心とでも言うべきメリーランドのビート・メイカー:ケヴ・ブラウンと同郷のMC:ケインバー。以前ジャジー・ジェフのア・タッチ・オブ・ジャズに籍を置いていたケヴ・ブラウンは、ロウ・バジェット・クルー(DMV=DC、Maryland、Virginia地区のアングラ・シーンを代表するミュージック・コレクティヴ)の中心的存在で、ラヒーム・デヴォーン周辺とも繋がりがあるのでR&Bファンにもお馴染みだと思う。そんなケヴが、ケインバーのほか、ケン・スターやサイ・ヤング、クオーターメインといったロウ・バジェット仲間のMCを集めて作ったのが、このアレクサンダー・グリーン・プロジェクトなのだが…『I'm Still In Love With You』のパロディみたいなジャケ、そこに書かれたAl(exander) Greenという文字にピンときた方、ハイ、正解です。このアルバム、全編アル・グリーン曲をサンプリングしてビートを編んだアル・グリーン愛溢れまくりの趣味趣味盤なのだ。ケヴらしいチョップの仕方でネタ(ヴォーカル、リズム、ホーンなど)を刻んでタイトなビートに仕上げているのだが、さすが、トラックのひとつひとつがいちいち生々しくソウルフル。表現形態としてはヒップホップということになるんだろうけど、僕みたいなR&B好きの聴き手からしたら、そこに乗るのがラップでも、これはもうソウルです。今やネタがどうの…という時代ではないのかもしれないけど、やっぱりこういうのはたまりません。

ちなみに、僕は買ってないけど、このアナログはグリーン(緑色)のカラー・ヴァイナルなんだとか。凝ってますね~。ジャケ写はロディ・ロッド、マスターはK・マードックと、制作スタッフもロウ・バジェット一派。さすが“低予算クルー”(笑)。でも、質はハイ・クオリティ。最近音盤化されたケヴ・ブラウンのリーダー作『Random Joints』も、ラヒーム・デヴォーンやZo!、ビラル・サラームらが参加したハイ・クオリティなアルバムだった(ホントはこっちを紹介するべきだったのかも)。

やや自慢っぽくなるが、ハイといえば、2007年にメンフィスのロイヤル・レコーディング・スタジオを突撃訪問したことがある。今は亡きウィリー・ミッチェル御大に会い、スタジオ見学もさせてもらったのだが、この話はいつかまとめてみたいと思います。



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