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Esperanza Spalding / Radio Music Society

Esperanzaやっぱり放置か…と思われているかもしれませんが(苦笑)。普段原稿を書く仕事をしていると(他の仕事でも)、ブログとはいえ、新たに文章を書くというのは結構大変なことですね。より気軽に書き込めるTwitterやFacebookに流れてしまう気持ちがよくわかりました。でも、取り上げたいアルバム(ここ1ヵ月くらいの新譜、及び再発のニュー・リリース)は既に30枚を超えているので、空いた時間に更新していきます。

今回は、昨年のグラミー賞で大方の予想を裏切って(?)新人賞を獲得した女流ジャズ・ベーシスト、エスペランサ・スポルディングの最新作。通算4作目。当初は前作『Chamber Music Society』とのダブル仕様を予定していたそうで、クラシックの室内楽(Chamber Music)をモチーフにした前作と対になるラジオ向き(Radio Music)なポップスを目指したのが今回の新作なのだそう。“ポップス”と言うと勘違いされるかもしれないけど、まあ、ストレートなジャズの作法からハミ出して、ジャズをストリートに連れ出した…みたいに考えるとわかりやすいかな。なにしろ今回はQ・ティップがコ・プロデュースした曲もありますし。

ウェイン・ショーター“Endangered Species”のカヴァーなんかを聴いていて思ったのは、今回のアルバム、音的にはスティーリー・ダンの『Aja』(ウェイン・ショーターも参加)とかに近い。ジャズ・ポップスというか。で、エスペランサのヴォーカル。エレガントに歌われたマイケル・ジャクソン“I Can't Help It”のカヴァーとかを聴いていると、これはもうジャズというより、単純に上質なソウル・ヴォーカル・アルバムと言った方がよさそうですね。透明感のあるキュートでハートウォーミングな歌声は、ジャズとソウル/ポップスを股にかけたという点も含めてパトリース・ラッシェン(彼女は鍵盤奏者だが)に似てるかな、とも。一部では、先に出たロバート・グラスパーの新作などと一緒に、ニコラス・ペイトンが提唱するBAM(Black American Music)ムーヴメントの一環で…とか俄かに言われ始めているけど、3月上旬にプロモーション来日した時の彼女の口ぶりからすると、そんな小難しいこと考えてないような印象を受けたし、個人的には、BAMがどうのなんて思いながら聴くのはしんどい。もっとも、アルジェブラ(・ブレセット)と共演した先行曲“Black Gold”は「奴隷制度前の私たちのアフリカン・アメリカンとしての伝統を歌った」というアフロ賛美的な曲だったりと、メッセージ色の強い作品でもあったりするのだけど。

ところで今回の新作、通常盤とDVD付きのデラックス盤がある。もちろん(?)僕が買ったのはデラックス盤(ジャケの地色が紺色)の方。で、そのDVDの中身というのが、先に公開されていた“Black Gold”を含む、アルバム本編に収録された12曲中11曲分のミュージック・ヴィデオで、それらがストーリー性をもって切れ目なく展開されていくという60分超の映画(風)になっているのだ。NYや、故郷のオレゴン州ポートランドなどで撮影されたそれは、曲によってはシリアスな描写もあるが、何だか無性にNYに行きたくなるようなハイセンスな映像&ストーリーで、アルバムの曲をより楽しむなら、こちらのデラックス盤を猛烈におススメしたい。

ちなみに今作でドラムを叩いているのは、女流ジャズ・ドラマーのテリ・リン・キャリントンだが、エスペランサも参加したテリのリーダー作をはじめ、先に名前を挙げたニコラス・ペイトン、ロバート・グラスパー、今度出るジェフ・ブラッドショウの新作、あとグレゴリー・ポーターなんかも含めて、ここ最近R&B脳で聴きたいジャズ作品が増えていて、こういうのをR&B視点で語るメディアが欲しいなぁ…などと思ったり。そういや、今作の1曲目“Radio Song”では、一部で“ネクスト・ディアンジェロ”なんて呼ばれてもいるクリス・ターナーがバックで歌っているんだけど、彼が最近Bandcampにアップしたミックステープ『The Monk Tape』もジャズ盤だった。



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