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2012年03月

Ruben Studdard / Letters From Birmingham

541一発目のネタを何にしようかちょっと迷ったけど、ここ最近、新譜・再発のライナーノーツをわりと書いたので、そこからピックアップ。まずはヴィヴィド・サウンドから日本盤(輸入盤国内仕様)が発売された、“ヴェルヴェット・テディ・ベア”(名付け親はグラディス・ナイトとされる)ことルーベン・スタッダードの新作から。全部書いちゃうとライナーの意味がないので、かいつまんで紹介します。

「アメリカン・アイドル」(シーズン2)出身のシンガーということで、デビュー当初は“アイドル・オーディション=本格派じゃない”みたいな感じで一部から敬遠されていたような印象もあった。でも、ルーベンに限らず、同番組出身のジェニファー・ハドソンやファンテイジアがR&Bの第一線で活躍している様子を見れば、今やそんなことを言う人も少ないはず。実際、そのルーサー・ヴァンドロスにも譬えられるシルキーな美声は抗えない魅力があるし、J・レコーズからデビュー・アルバムを発表して間もない頃(2004年初頭)に行った来日ショウケースでのパフォーマンスも上々。2010年の「デイヴィッド・フォスター&フレンズ公演」に出演した際も評判だった。

さて、約3年ぶりとなる今回の新作は通算5作目。今回は、近年アーバンR&B系のアーティストを次々と招き入れている良心的インディ・レーベルのシャナキー(Shanachie)から。シャナキーでは、昨年同レーベルから発表されたキキ・ワイアットの最新作『Unbelievable!』でシェレール&アレクサンダー・オニールの名曲“Saturday Love”をキキとデュエットしていたルーベンだけど、本アルバムのセットアップ・シングル“Rock Wit'cha”も女性シンガーとのデュエットだった。無論、曲はボビー・ブラウンの89年ヒットのカヴァーで、お相手は、R・ケリーとの共演でも話題になったK.ミッシェル嬢。オリジナルよりもスロウな仕上がりで、カヴァーした理由は、ボビーが在籍するニュー・エディションの大ファンだったからだそう。あと、皆が自分をルーサー・ヴァンドロスに譬えたがるので、そのイメージを変えてみたかったとも。女性とのデュエットはもう一曲あって、ルーベンが大ファンだったというクリセット・ミッシェルとも一緒に歌っている。ただし、クリセットの歌は控えめ。

アルバム・タイトルの『Letters From Birmingham』は、故キング牧師の有名な手紙に由来するもの。黒人に対する不平等などを唱えてアラバマ州バーミングハムで行なった抗議行動で逮捕されたキング牧師が獄中から出した手紙(Letter From Birmingham Jail)のことで、ルーベンはそれをアトランタの空港コンコースにあった歴史展示で見て感銘を受けたのだとか。というと、公民権運動をテーマにした社会的なアルバム?と思われそうだが、さにあらず。実際は、その手紙にインスパイアされつつも、自身の故郷であるバーミングハムへの想いを込めながら愛の喜びと痛みを表現したパーソナルなアルバムなのだという。

なにしろ、アルバムの先行シングルの“June 28th(I'm Single)”は、前妻との離婚について(の心境)歌ったもの。前妻とは2008年の“6月28日”に結婚するも昨年離婚、3年に及ぶ結婚生活に終止符を打った。前作『Love IS』では“Song For Her”を彼女に捧げていたのに…切ないです。テンプテーションズ“Just My Imagination(Running Away With Me)”を思わせるメロディにも哀感が滲む(けど、どこか吹っ切れている)。他には、コモドアーズ(彼らもアラバマ出身!)の“Brick House”に似たギター(ベース)・リフが印象的なロッキン・ファンクがあったり、映画『夢のチョコレート工場』(71年)でジーン・ワイルダーが歌っていたテーマ・ソング“Pure Imagination”のメロウなカヴァーがあったり、「ブランド品を身に着けるように僕を着て(抱きついて)」とか「一晩中絡み合っていたい」みたいなセクシャルな歌詞の曲があったり、かと思えば彼のルーツとなるゴスペルをベースにしたバラードもあったり…いずれにしても、あの豪快にして朗らかなヴォーカルはいつも通り。

アルバムのプロデュースは、ブラック・エルヴィスことエルヴィス・ウィリアムズとハロルド・リリー(のスピン・ミュージック・グループ)。このコンビではビヨンセの“Ego”を書いていた。ハロルド・リリーはJ・レコーズ時代からルーベンの曲を手掛けてきた盟友で、今回のアルバムのコンセプトも彼と考えたのだとか。当初は、マイク・シティのプロデュースで他界直前のヘヴィ・Dと共演した曲も収録予定とされていたが、どうやらその曲は省かれた模様。ちなみに、米Best Buy限定盤には4曲が追加。ヴィヴィドからの日本盤にはBest Buy盤のボートラのうち3曲を収録したボーナス・ディスク(CD)が付いております。



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スタート!(でも試運転)

R&B/ソウル・ミュージックの分野で音楽ライターをやっております林 剛と申します。今更ですが、ブログを始めました。R&B/ソウルの新譜、リイシュー(再発)盤、ライヴ・リポートなどを書いていく日記です。

Tonysここ1年くらいTwitterやFacebookを細々とやっていてネットでの書き込みに慣れてきたのと、今やブログ全盛という時代でもなくなった(?)ので、逆に落ち着いてできるかなと思い、買ったCDなどを備忘録的に書き留めておくことにしました。雑誌に掲載されるような畏まったレヴューではなく、あくまで一個人のシンプルな雑記です。どうぞ、お手柔らかに。

フリー・ダウンロードなどで提供されるデジタルなミックステープも取り上げるかもしれませんが、基本的には、現時点ではまだまだ山のようにリリースされて黒汁を飛ばしまくっているフィジカルな銀皿や黒皿がメイン。対象年代は1960年代後半から現在(2010年代)までといったところでしょうか。一方、せっかくなので、毎日のようにネット上にアップされる(オフィシャルな)新曲を「本日の上モノ」的な感じでピックアップしてみようかとも思っています(予定)。

と言いましても、いつまで続けられるかわかりません。ですので、まずは3ヵ月を目標に、お試し期間として試運転してみて、続けられるようであれば続けます。その際には、未発表アーカイブ(取材記や写真)などもアップできれば…なんてことも考えています。デイリー更新を目指したいところですが、現時点では不定期更新。タイトルや仕様も変えるかもしれません。なにしろ初ブログなので試行錯誤といった感じです。

ジャケットをトニ・トニ・トニの『Sons Of Soul』(93年)にしたのは、特に大きな意味はありませんが、このアルバムが基盤となって自分のソウル/R&B観が形成されているから…などと、もっともらしいことを言っておきましょう。タイトルも“いかにも”ですしね。単純に、90年代によく聴いたR&Bアルバムのひとつでもあります。

ゴチャゴチャと前置きが長くなりました。のんびりとやっていきたいと思います。よろしくお願い致します。



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