Ledisi / Pieces Of Me
早くもブログ放置か?! 今週はいろんなことがありすぎて、めまぐるしい1週間だったのです…。立て続けにライヴを観たというのも大きい。そんな中で結局2日も行ってしまったレディシの来日公演@ビルボードライブ東京。21日(セカンド・ステージ)は単独で、翌22日(ファースト・ステージ)は松尾潔さんにお誘いいただき、ふたりで観戦。なにしろレディシは現代の女性R&Bシンガーの中で僕が一番好きな人。だから、何回観たっていいのだ。
来日公演は今回で5度目だが、彼女のライヴには大阪ブルーノート(現ビルボードライブ大阪)での初来日公演(2002年6月)から毎回欠かさず足を運んでいる。初来日は東京公演がなかったので、レディシの日本初インタヴューを掲載したbmr誌の編集者&ライター仲間と新幹線に乗って大阪遠征。この時は、ちょうど日韓ワールドカップの真っ最中。ナイジェリアのサポーターが大阪の街に詰めかけていたのだが、レディシの両親もナイジェリア人ということで、こういう偶然もあるんだなぁと思ったものだ。ステージでは、当時の音楽パートナーだったサンドラ・マニング(先日はボビー・ウーマックの来日公演に鍵盤奏者として同行)とともにメロウで濃密なショウを繰り広げてくれた。
都内にある黒人音楽専門の某レコードショップに自主制作のデビュー作『Soulsinger』がひっそりと入荷し、好事家の間で話題になったのが11年ほど前。以後、オーガニック・ソウル~ネオ・ソウルの歌姫としてジワジワと注目を集め、2000年代後半にはヴァーヴ・フォアキャストとメジャー契約を果たし、今やグラミー賞に何度もノミネートされるまでになった。昨年のEssence Music Festival(EMF)では、本人のショウがないにもかかわらず、チャカ・カーン、ケム、ケリー・プライスのショウに飛び入り参加し、大歓声を浴びた(今年のEMFには自身のショウで出演が決定)。そういえば2009年には、インターネット・ラジオi-Radioで僕がやっている番組「Ebony Eyes 70’s Soul」(現在一時休止中)の初ゲストとして登場してもらったこともある。
今回は、グラミー賞ノミネート作品にもなった最新作『Pieces Of Me』(2011年)を引っ提げての来日。メジャー移籍以降の彼女を支える鍵盤奏者/プロデューサーのロレンゾ・ジョンソンもハモンドB-3で参加したショウは、メインストリームR&Bに接近した新作の曲を中心に、ロッキッシュでブルージーな前作『Turn Me Loose』(2009年)、ネオ・ソウル然としたメジャー・デビュー作『Lost & Found』(2007年)の曲を散りばめた内容。そんな中、チャック・ハーモニーとクロード・ケリーが制作した最新作からのヒット・シングル“Pieces Of Me”をやると、やっぱりこれ、キャッチーですね。もちろんいい意味で。
ステージ序盤のJBな振りには驚いたが、今回のショウは全体的にしっとりめ&声量控えめ。いつもは喉チンコ全開でいきなりフルスロットルなレディシだけど、あまり爆発せず、スキャットもあのとり憑かれたような感じがない。初日にそう感じていたら、2日目の1曲目の途中で、「いつもよりヴォーカル抑え気味じゃないですか?」と松尾さん。やはり。途中一時退場して、滅法歌えるバック・ヴォーカルの女性ふたり(サラ・ウィリアムズ、ダネトラ・ムーア)にソロを取らせるあたりも珍しい。レディシややお疲れ気味か、それともこちらの耳が慣れたのか。たぶん6割程度の力だったと思う。けれど、レディシは基準が違う。オペラ仕込み(彼女は大学でオペラを学んでいたのだ)の強靭な喉は、音程、ピッチの狂いもなく、普通に歌っても圧倒的。今回がレディシ初観戦だとしても度肝を抜かれたと思う。それでいて、ギリギリのところで「私、こんだけ歌えんのよ!」的なこれみよがしな感じにならないところも彼女の良さ。生まれ故郷ニューオーリンズでのハリケーン・カトリーナと日本の災害を思いながら歌ったサッチモの“What A Wonderful World”にはジ~ンときた。
…と、気分が良くなったところで、2日目の終演後には、松尾さんと下北沢の某ソウル・バーへ移動。「今日は終電くらいまでにしておきましょう」なんて言っていたものの、心地よいソウル・ミュージックをBGMにR&B/ソウルの話をし始めたら止まるわけもなく、途中、某レコード会社のディレクター氏も参戦して夜中の3時頃まで話し込んでしまった。