Essence Festival 2013:Day 1(7/5)

初日イメージ【Main Stage】
Brandy
(7:00PM)
LL Cool J(8:05PM)
Jill Scott(9:25PM)
Maxwell(11:00PM)

【Super Lounge】
Coca-ColaShamarr Allen and The Underdawgs(7:10PM) Blackstreet(8:35PM&9:50PM)
McDonald / 365Black AwardsMaya Azucena(7:25PM) Simphiwe Dana(8:15PM) Les Nubians(9:20PM)
FordMali Music(6:55PM) Emeli Sande(7:45PM) Anthony David(8:55PM&10:05PM)
Covergirl(Curated by Janelle Monae):Deep Cotton,Roman GianArthur,St.Beauty(7:10 PM) Chrisette Michele(9:05PM)
※時間は当初の開演予定時間です。


■スタートは初出演のブランディから!
Brandyもう年を越しちゃいまして、1年ぶりに振り返るEssence Festival 2013ですが、まあ、今回は時間も経っちゃいましたし、その後の動きなんかも交えて、ユルくひとり語りを。序文でも触れているけど、今年からフェスの名前がマイナー・チェンジして。前年までの違いといえば、フェス前日に〈Family Reunion Day〉があったことくらいかな。
初日のメイン・ステージのトップバッターは意外にもEssence Fest.初登場というブランディ。本人がライヴの冒頭で言っていて気づいたんだけど(笑)。3月に来日公演も観ていて、“What About Us”から始まる展開も含めて、その縮小版って感じだったと思う。80年代の滅法歌えるファンク・バンドの女性シンガーみたいだなぁと思っていたけど、デビューから約20年経ってEssence Fest.の大舞台を踏める貫禄がついたというか。“Best Friend”とか“Baby”“I Wanna Be Down”といった初期の曲を歌うと特にそう感じる。それでいながら今の若手と張り合えるフレッシュさもある。最新作『Two Eleven』のBrandy 2曲ももちろんやって、最後が“Put It Down”だったかな。でも、ハイライトは来日公演でもやったホイットニー・ヒューストンのメドレー(“I'm Your Baby Tonight~How Will I Know~I Wanna Dance With Somebody”)。こういうのはEssence Fest.に限らずだけど、受けますね。
 早い時間のラウンジではインディや新人の、わりと地味目なところ……と言っては失礼だけど、自分的に注目のアーティストが多かった。6時台からやってたマリ・ミュージックは、ゴスペル盤だった2009年の『The Second Coming』も聴いてて、観ておきたかったんだけどスルーしてしまい……後悔。世俗に転向して出した“Beautiful”が、ここまで注目されるとは思わなかった。2014年に出された新作『Mali Is…』は、ミゲルと同じマーク・ピッツのバイストーム/RCAからで、まさにミゲルとジョン・レジェンドを合わせたような雰囲気。
Mayaで、この時間帯でまず観たのがマヤ・アズセナ。アズシーナと読むらしいけど、まあ、どっちでもいいや。2003年の『Maya Who?』から10年経って、ようやく初出演。彼女はぜひ観たかった人なんだけど、まず驚いたのが、小柄だと思っていたら大柄だったこと(笑)。となれば、CDで聴けたパワー・ヴォイスも納得ってなもんで、実際にナマの歌もその通りだった。僕がフルで聴いて一番印象に残ってるのは“Fearless”という曲。これは秋に出すニュー・シングルということもあって、かなり力が入っていた。バンド・サウンド映えするソウルフルなHoney声。お客さんは少なかったけど、バック・コーラスにハニー・ラロシェルがいたのは得した気分だった。彼女、冬にロバータ・フラックの来日公演に同行したんだけど、2013年に出したアルバム『The Yes Feeling』がオーガニックな好盤だったから、マヤとの相性もいい。終演後は会場をウロチョロしてたけど、赤毛だから凄く目立つ(笑)。


■充実のラウンジ。ブラックストリートも登場!
Emilieエミリー・サンデーもラウンジで。UKからのアーティストということもあって、エステルに近い盛り上がり方だったかな。でも、彼女がエステルと違ったのは、初出演にしてラウンジが超満員だったこと。しかも合唱になる率が高い。アメリカでは『Our Version of Events』って大ヒットというほどヒットしてないと思うんだけど、“Next To Me”は、さすがに人気でしたね。US R&Bのノリとは違うUKらしいポップ・ソウルで、個人的には心の底からはのめり込めないタイプなんだけど、アメリカでここまで受け入れられていてちょっとビックリだったかも。
 そんな中、メイン・ステージはLLクール・Jだったんだけど、すみません、これは完全にパス。彼のステージは、ニュー・エディションと同じで、昔と変わらないアイドル的な盛り上がりを見せるEssence Fest.の名物のひとつなわけだけど、それよりもラウンジで行われCovergirlる新人のR&B系アーティストを観たくて。で、向かったのがラウンジの〈Covergirl〉というステージ。ここでは3日間にわたってジャネル・モネイがキュレーターを務めて気鋭のアーティストを紹介するということで、初日は、モネイ所縁の面々が1時間半近くのステージをシェア。男性二人組のディープ・コットン、女性デュオのセイント・ビューティ、そしてローマン・ジャンアンサーの3組で、つまりモネイを筆頭とするワンダランド・アーツ・ソサエティに属する面々ですね。特に男性の2組は『The Electric Lady』の裏方としても大きく関わっていて、その発売前だったこともあり、顔見せという感じだったんでしょう。他のラウンジも回りつつだったので、結局ディープ・コットンしか観ていないのだけDeepど、これが正直キツかった(苦笑)。ネイト・ワンダーとチャック・ライトニングのふたりで、もちろんジャネルは開演前のMCで大絶賛するわけだけど……ライヴは自己陶酔系のブラック・ロックというかエキセントリックで、ジミ・ヘンドリックスが部屋にこもってモゾモゾやってる感じ(笑)。彼らがウェブ上で発表した『Runaway Radio』っていうミックステープは『The Electric Lady』の裏盤的な楽しみ方もできる好作品でしたが。
 で、同じ頃にやってたのが、南アフリカのシンフィウェ・ダナ。南アフリカの女性シンガーはいい人が結構いるのに話題になりにくい。2014年に米国デビューしたリラなんかは2010年に南アのワールドカップのコンピにも収録されて知られていた方だけど、実はリラとも縁のあるシンフィウェはワーナーでアルバムを出していたDanaのにチェックしていなかった。まとめて語るのも乱暴だけど、南アの女性シンガーはジャズの影響が色濃く、声が清らかというか、レッタ・ムブールの系譜を受け継いだような人が多い。ただ、USのR&Bシンガーと比べると線が細く、このシンフィウェも“超内気なジャネット・ジャクソン”といった感じだった。残念ながらお客さんもほとんどいなくて、彼女にとっては辛いアメリカ体験となったかもしれない。

Blackstreetそして、この時間帯で一番観たかったのは、やはりブラックストリート。さすがに本国でのブラックストリートは観てみたい。ただ、今のブラックストリートはBS2(Blackstreet 2)。どこぞの衛星放送みたいな名前ですが、テディ・ライリーを除いては新メンバーという。J・スタイルズ、レニー・ハロルド、トニー・タイラーがその新メンバーで、デイヴ・ホリスターDaveが名誉メンバー的な形で加わるという感じなのかな(2013年末に来日することになるメンバーでもある)。個人的な印象では、一番イケメンというかヤンチャな感じのレニー・ハロルドが目立ってたような気がするけど、優等生的なルックスのトニー・タイラーが結構ガンガンに歌うのがよかったかも。Teddy途中でデイヴ・ホリスターが出てきてから会場が一気にヒートアップ。“Before I Let Go”でバリトン炸裂、テディのトーク・ボックスも、ロジャー“I Wanna Be Your Man”を交えながら炸裂。これは普通にたまらなかった。

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soul_ringosoul_ringo  at 21:23  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! Live | Essence Music Festival 

Essence Festival 2013:Family Reunion Day(7/4)

Family今年もEssence Festivalに行ってきた。毎年、フェスの前日もしくは前々日にニューオーリンズ入りするようにしているのだが、今年も前々日に現地入り。というのも、本番前日に野外フリー・コンサートがあったから。昨年はディギー・シモンズなんかが出た前日のプレ・イヴェント〈New and Next〉(若手や新人アーティストの紹介を目的としたコンサート)が評判を呼んだからなのか、今年はさらに大がかりなイヴェントを仕掛けてきた。

〈Family Reunion Day〉と銘打たれた今回のプレ・イヴェントは、家族や同胞がそのルーツを確かめ合うことを目的として、同時に7月4日のアメリカ独立記念日をお祝いしましょうというもの。おそらくEssence Fest.では初めてとなる試みだ。会場は、ミシシッピ川沿いの広場、ウォールデンバーグ川岸公園。コンサートをメインの催し物として、周囲でクッキング・コンペティションやバーベキュー、ゲームなどが行われ、キッズ広場も設けてある。511入場は無料で、Essence Fest.を観にやってきた人たちだけでなく地元の人たちも家族連れで楽しむことができるようにした、ニューオーリンズ市あげてのイヴェント。Essence Fest.開催をキッカケに若い世代に(ブラック・)カルチャーを伝えていくという目的もあるのでしょう。もちろん、参加者は、Essence Fest.の会場がそうであるように99%がブラック・ピープル。
 

コンヴェンション野外イヴェントは午前11時からということで、その前に、近くのコンヴェンション・センター(Ernest N. Morial Convention Center)で行われているフェスのオープニング・セレモニーに出席。会場に着くと、いきなりマスター・Pが息子ロミオと娘シンフォニークの3人でステージに登場し、驚く。そして、ここがニューオーリンズであることを改めて実感する。P1050495野外イヴェントと連動し、“家族の絆”をテーマにマスター・P親子が終日ホストを務めるということで、地元を代表する模範的なファミリーとして親子ともども優等生的なスピーチを行っていた。内容はよくわからなかったが。

本会場のウォールデンバーグ川岸公園に移動すると、ライヴ前のステージでサウンドチェックをやっていた。そのときちょうど流れてきたのが、メイズの“Golden Time Of Day”。P1050515ミシシッピ川沿いで、午前の温かな日差しを浴びながら大音量で聴くメイズ……これはたまらない。このライヴ・ステージと背中合わせになっていたのがクッキング・ステージで、ここで料理(ソウルフード)コンテストが行われた。実は早い時間はライヴよりこちらのクッキング・ステージの方が盛り上がっていて、コンテスト出場者の自慢のソウル・フードをタダで食べられるとあって大行列。けれど、自分の目的は夜まで続くコンサート。有名・無名あわせて10組近くのアーティストのライヴが観られる、しかも多くは日本に来たことがない人たちということで希少価値も高い。ライヴの主な出演者は次の通り(順不同)。


Gina Brown、Brass-A-Holics、Tweet、Water Seed、Stooges Brass Band、Biz Markie、Doug E.Fresh、Cupid...

P1050503


アーティストひと組につきパフォーマンス時間は40分~1時間程度。早い時間帯には、上記以外にも地元の若手ヴァイオリニスト、苦節ン十年なブルース・シンガーなどジャンル問わずいろいろ出てきたが、個人的に観たかったのはトゥイートとウォーター・シード。結局、どちらともフルで観ることができたが、軽くアルコールの入った状態で、ライヴ・リポなんか書くつもりなく観ていたので、以下、ユルい雑記になります。

P1050536R&Bファン的に、まず目に留まったのはジーナ・ブラウンというニューオーリンズをホームとしている女性シンガー。2012年に『G's Spot』というサザン・ソウルの伝統を受け継いだアルバムを出していて、ちょっとハスキーで情熱的な声がグラディス・ナイトなんかとも比較されている(というより80年代以降のティナ・ターナーに近いかも)。普段はアナザ・レヴェル(Anutha Level)というバンドを率いて活動しているようで、今回もそのバンドとともに登場。青字で「GB」と書いてある黄緑のTシャツを着て、大きなお尻とふくよかな胸をブルンブルンさせながら歌うわけですが、そんなダイナマイト・ボディから繰り出される歌声はゴスペル上がりの南部女性らしいパワフルで包容力のあるそれ。アレサ・フランクリン“Rock Steady”のカヴァーが実によく似合う。ルーファス&チャカ・カーン“Sweet Thing”でもブラック・ピープルのお客さんのハートをガッシリと掴んでいた。HBOのTVドラマ・シリーズ『Treme』にアーマ・トーマスのバック・シンガーとして出演したこともあるようで、なるほど。

その後、順番は前後するが、2組のブラス・バンドを観た。P1050626いや、あまりちゃんとは観てなくて、その場に居た、という感じだったのだが。ひと組はストゥージズ・ブラス・バンド。ニューオーリンズ音楽ファンにはそれなりに知名度があるバンドで、スタジオ・アルバム1枚とライヴ盤を出している。まともに聴いたことがなかったので、シャープな音を出す、ガッツのあるバンドだなぁ……という程度の感想しか出てこない。個人的に興味を惹かれたのは、もうひと組のブラス・ア・ホリックス。ブラバンとゴーゴーを合体させた“ゴーゴー・ブラス・ファンク”を標榜して2010年に結成されたバンドで、ニューオーリンズの無料音楽誌『offBEAT』で今年のEssence Fest.を特集していた号の表紙を飾り、3ページにわたって大々的に特集が組まれていたこともあって気になっていたのだ。しかも、キーボード(オルガン)はケイコ・コマキさんという日本人女性。故マーヴァ・ライトのバックでも演奏していたことがあるという。P1050542ゴーゴー×ブラバン。まあ、兄弟みたいな関係にある両者だから親和性は高く、彼らの曲は全然知らなかったけど、とてもファンキーで力強く、チャック・ブラウンのライヴを観ているような感じで踊って楽しんだ。今後、彼らには注目していきたい。

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soul_ringosoul_ringo  at 23:30  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! Essence Music Festival | Live 

KEM / What Christmas Means

KEM Christmas今年もクリスマスがやってきました。クリスマスは大好きです。ただし僕の場合は、“欧米の文化”として、遠い日本から憧れを抱きつつ眺めるのが好きというか、しんしんと雪が降る街や山村などで人々がクリスマス(・イヴ)を静かに過ごしている映像をTVなんかで観ていると、とても幸せな気持ちになります。日本で言うなら、大晦日に「ゆく年くる年」が始まって、外からかすかに聞こえてくる除夜の鐘を耳にしながら新年を迎えるあの感じでしょうか。個人的には宗教的に全くの部外者なわけですが、それでもゴスペルを好んで聴くのと同様、クリスマスもそれ関連の音楽や映像などを楽しんでいます。もちろんクリスマス/ホリデイ・アルバムも大好きで、R&B/ソウル系アーティストのそれは、目にしたものはほぼ全て買っているかな。聴きなれたクリスマス・スタンダードでもアーティストごとに解釈が違って、それぞれのシグネイチャー・スタイルがかえって浮き彫りになるというか、その人の持ち味を再確認できたり、チャーチ・ルーツが覗けたりするのが興味深いですよね。

今年も素敵なクリスマス・アルバム/ソングがリリースされました。デジタル配信限定のものも合わせるとアルバム/シングルともに夥しい数の作品が出ているわけですが、配信限定では、R&Bファン悶絶のメンツ(90年代復活組がヤバい!)が揃ったJ・ダブ監修の『Christmas At My House』がダントツでよかったです(8ドルで購入可)。フィジカルでは、シーロー・グリーンのもまずまずでしたが、ネオ・ソウル好きの僕としては、アトランタの実力派歌姫ロンダ・トーマスの『Little Drummer Girl』(本人のHPから直接購入)がベストでした。エリック・ロバーソンとデュエットしたオリジナル・ソング“Mistletoe”が蕩けそうなほどメロウな曲で、これだけでも買いです。

リイシュー系だと、ルーサー・ヴァンドロスが95年に出したクリスマス・アルバムの改訂増補的な編集盤『The Classic Christmas Album』が実は見逃せない一枚。正直、最初はルーサーだから…と惰性で買ったのですが、チャカ・カーンとデュエットしたライヴ音源が初音盤化となっていたり、あの「ルーサー」時代にコティリオン・レーベルのクリスマス・アルバム『Funky Christmas』(76年)に提供した2曲(91年に一度CD化)が加えられているので、ファンは必携でしょう。ポール・ライザーがアレンジした“At Christmas Time”の美しいこと。あと、海外では何度かCD化されていたサルソウル・オーケストラのクリスマス・アルバム『Christmas Jollies』(76年)が、ようやく日本盤CDとして登場。ヴィンセント・モンタナの娘デニース・モンタナが歌う“Merry Christmas All”がとにかく大好きで、これは僕のクリスマス定番曲になってます(この曲のモンタナ・オーケストラ版のミュージック・ヴィデオもあった!)。そういえば11年前のちょうど今頃、初めてフィラデルフィアを訪れた時に、The Studioでラリー・ゴールドを取材した後、立ち寄ったフィリー名物のチーズ・ステーキ屋でかかっていたWDAS-FMからこの曲が流れてきて感激したのですが、DJが「フィリー、フィリー!」と得意気にこの曲をかけていたように、フィラデルフィアでは地元を代表するホリデイ・ソングのひとつとして親しまれているようです。

そんななか
今年R&Bファンの間で最も話題になったのが、念願の来日公演も決まったKEMのクリスマス・アルバム。日本盤が一度も出されていなけどアメリカのブラック・コミュニティでは絶大な人気を誇る彼の素晴らしさを、これまで拙い文章で必死に訴えてきた僕ですが(『Intimacy』リリース時のbounce誌の記事はコチラ)、こうしてメジャーのモータウンからクリスマス・アルバムを出せたことが本国での人気を証明しています。2003年のメジャー・デビューから9年。現在は、過去のホームレス体験などを活かして地元デトロイトでホームレス支援コンサートなんかを行っているKEMですが、かつて帰る場所がなく辛く寂しいクリスマスを過ごしていただろう彼が、こうしてクリスマス・アルバムを作るまでの大物になったという事実にグッとくるものがあります。

アルバムは、これまでも共同作業をしてきた名手レックス・ライダウトがプロダクションに関わり、先のルーサーにも関わっていたデトロイトの巨匠ポール・ライザーがオーケストラ・アレンジを担当。メラニー・ラザフォード(デトロイト・ヒップホップ勢との絡みで知られる才女)などと共作したオリジナルも、クリスマス・スタンダードも、KEMらしいシンプルで静謐な美しくロマンティックな音世界が広がり、厳寒のデトロイトの雪景色が眼前に浮かんでくるかのようです。冒頭の“Glorify The King”ではクワイアを従え、いきなり厳かな気分に。ビリー・ポール“Me And Mrs.Jones”のメロディをベースにした“Be Mine For Christmas”では、レックスとの繋がりから、Essence Music Festivalでも共演したことがあるレディシとデュエット。オリジナル・アルバムにも関わっていたフィリーのヴェテラン・ギタリスト、ランディ・ボウランド(来日公演にも同行予定!)もいい音を鳴らしていて、スタンダードの“The Christmas Song”ではジャジーなソロを披露してくれてます。

最後の“Doo Wop Christmas(That's What Christmas Is All About)”は、表題通りドゥー・ワップ・スタイルのア・カペラ・ソング。KEMとともに50~60年代のドゥー・ワップ・グループを気取ってみせるのはハーシェル・ブーンとクリス・マッキーで、バック・ヴォーカルには、あのフローターズ(デトロイト出身)のラルフ・ミッチェルらも名を連ねている。ハーシェル・ブーンは、ブーン兄弟からなるデトロイト(Detroyt)のメンバーとして84年にタブーからアルバムを出していたあの人のはずで(兄弟のカーティス・ブーンは、近年もアレサ・フランクリンなどを手掛けている名裏方)、2010年に出したソロEP『To Be With You』も滅法素晴らしいので(盤はCD-Rですが)、R&Bファンは要チェック。それにしても、どこまでもデトロイトにこだわるKEMの地元愛には頭が下がります。

25日が終わったとたん、日本では一気に正月モードに突入しますが、アフリカン・アメリカンの間では26日から1月1日にかけてポスト・クリスマス的なクワンザ(Kwanzaa)というお祭りがあります。どんなお祭りなのかはコチラを見ていただくとして、貧しい人たちがクリスマス後の値下がり品を買ってお祝いする…みたいなそれには、何だか心温まると同時にウルッとくるものがありますね。まあ、アフリカン・アメリカンではない日本人は黙って眺めているしかない祭事なのですが、ブラック・ミュージック・ファンは25日が終わってもクワンザがありますよ…ということで。先のロンダ・トーマスもそうですが、クワンザにちなんだ曲が入っているクリスマス盤も結構あります。要らぬお世話かもですが、ブラック・ミュージック専門のレコード・ショップさんには、この時期、クリスマス・アルバムなどを含めて余剰在庫品を安値で放出する“Happy Kwanzaaセール”みたいなのをやってもらえると嬉しいかもしれません…なんてことを思う2012年のクリスマスでした。



soul_ringosoul_ringo  at 01:12  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 男性ヴォーカル | クリスマス 

Soul Togetherness 2012

Soul 20123月にブログを始めてから早9ヵ月、2012年も残すところあと僅かとなってしまった。当初の予想通り(?)定期的には更新できず、8月以降はR・ケリーの新作について書いたきり3ヶ月以上放置し、11月になってEssence Music Festivalの座談会リポート3日分+序文をアップしたものの再び放置状態…。今年は、おかげさまで随分忙しくさせてもらいまして。まあ、皆さんお忙しいので、そのおこぼれが端くれの僕にも回ってきたのだと思いますが、レギュラーの雑誌や不定期の刊行物に加え、例年なら年間20本書くか書かないかだったCDのライナーノーツを、今年は一ヵ月に20本以上書く月もあったりで、物事をじっくり考える余裕がなかった。特にオリンピックあたりからアレコレとあり、ブログを書く時間がないというか気力ゼロ…と言いつつ、TwitterとかFacebookには仕事のネタ+αをちょくちょく書き込んでいたのだけど、原稿を書いた後にさらに文章を書くというタフさが残念ながら僕にはないようです(苦笑)。そんなこんなで、やはりブログはやらないほうがよかったのかなぁ…などと思い始めてもいる今日この頃ですが、年末進行も一段落したので再開してみました。

この時期になると、音楽ファンの皆さんは年間ベスト・アルバムなんかを考え始めているのではないでしょうか。国内外のメディアでも、あちこちで年間ベスト・アルバムの特集が組まれていたりしますが、僕も僅かながらいくつかのメディアで個人ベストなどに参加させてもらっています。最近ですと、ディスクユニオンさんが発行している『黒汁通信』の年間ベスト増刊号『黒汁大賞2012』に“黒ジリスト”のひとりとして今年も参加させていただくことに。黒汁マナー(って?)に則って、新譜・再発合わせた個人ベスト5を選んでいます。また、個人ベストではないですが、タワーレコードさん発行の『bounce』誌では、これまた今年も年間ベスト企画「OPUS OF THE YEAR」(R&B部門など)でアルバムに関するコメントを書いています。今後もまだいくつかあるのですが、今年はせっかくブログを始めたことですし、本ブログでもR&B/ソウルに限定した新譜/再発/シングルの個人ベスト10 と2012年のR&B総括みたいなのをやってみようかと考え中。まあ、自己満足以外の何物でもないですが、R&Bに限って言えば、それを専門に扱う(US R&Bを軸にした)日本のメディアは今や皆無なので、自己満足ついでにまとめておこうかと(予定)。

それにしても、いろいろな雑誌/メディアの年間ベスト・アルバムを見ていて、とても興味深いです。R&Bに関しては、僕の勝手な思い込みかもしれませんが、ロック・ジャーナリズム的価値観で選ばれたそれというか、レフトを気取った欧米の音楽雑誌の価値観が日本にも飛び火して…という感じで、オレンジ色の憎い奴(≠夕刊フジ)とか「消臭力」じゃない方の人の2ndがお約束のようにランクインしていて、へぇと思ったり。もちろん両作とも優れたアルバムだし、実際に今年の〈Soul Train Awards〉でも評価されたわけだけど、R&Bだけは相当な数の作品を聴いてるはずの自分からすると、それだったらあれも…と思うところもある。まあ、ここらへんのことは書き出すとキリがないので止めておきますが、評論家的なポーズをとるために世の風潮に歩調を合わせて、実際はそれほどピンときていないのに、その良さをあえて見出そうとしたり考え始めたりしたらそれは本心ではないと思うので、R&Bリスナーとしては尖がった部分を求めながらも保守的な感覚がベースにある僕のベストは、世間の評価とは少しズレたものになりそうです(既に発表済みのものも含め)。

で、今回は、そんな自分の正直な気持ちを代弁してくれているようなコンピを。UKのエクスパンションから毎年冬が近づくとリリースされる『Soul Togetherness』です。僕の記憶が正しければ第一弾が出たのが2000年。ということは、今回で13タイトル目になるのかな。モダン・ソウルをキーワードに、アーバンでスムーズなソウルを主力とするエクスパンションらしい感覚でその年に話題になった主にインディのR&Bやハウス、クラブ・ジャズ曲を70~80年代ソウルの曲も織り交ぜて収録しているのですが、これが僕の趣味とドンピシャ。特に2012年版の選曲は思いっきり僕好み。しかも今回は、R・ケリー“Share My Love”やアンソニー・ハミルトン“Woo”といったUSのメジャーどころまで入っていて、ソウルペルソナやクール・ミリオン、ジャザノヴァといったヨーロッパのクリエイター(・チーム)が作るダンサブルなナンバーたちの中に違和感なく溶け込んでいる。収録されているのは、必ずしもその年に発表された曲とは限らず、その年にフロアでヘヴィ・プレイされるなどした旧曲も含まれる。例えば、ロウレルの必殺メロウ・ダンサー“Mellow Mellow Right On”を引用したビッグ・ブルックリン・レッドの“Taking It Too Far”は4年ほど前に出ていた曲(これを収録したアルバム『Answer The Call』も好盤!)。どうやらここ2年くらいアンダーグラウンドなフロアで人気だったようで、実際、今年7月にニューヨークで観たヤーザラーのライヴでも開演前にDJがこの曲をかけていた。ネタに頼った曲とはいえ、これは文句なしに気持ちいい。

個人的に一番嬉しかったのが、UKではリール・ピープル・ミュージックと配給契約を結んだフィリーの姉妹デュオ、エイリーズが2010年にデジタル配信して話題を呼んだ爽快メロウなダンサー“Don't Give It Up”の初フィジカル化。70年代後半のテイスト・オブ・ハニーやマイケル・ジャクソンと繋げて聴いても違和感ない曲です。そして、KEMとのデュエットでも知られるデトロイトの歌姫モーリッサ・ローズ。彼女に関しては、アニタ・ベイカーのスピリットを受け継ぐ歌姫と勝手に思っていたのだけど、今回収録された“Thinking About You”をプロデュースしているのは、誰あろう、マイケル・J.パウエルその人であった。これまたスムーズなダンサー系の曲で、パウエルらしいジャジーでアーバンな作法とモーリッサの熱く深みを湛えたヴォーカルが見事な相性をみせる。他にも、ジェラード・アンソニーの新作『Ready To Live』からロニー・ロストン・スミスらをフィーチャーしたウェルドン・アーヴィンfeat.ドン・ブラックマン曲のカヴァー“I Love You”、来日公演も決まったソウル・ジャズ・シンガー、グレゴリー・ポーターの出世曲“1960 What?”のダンサブルなハウス調リミックス(Opolopo Kick & Bass Rerub)などなど、気持ちよすぎる全15曲。主義主張ありげな音楽を腕組んで考えながら聴くより、こういう方がずっと楽しいなぁ…という主義主張をしてしまいましたが、リハビリがてら書いてみました。これを機に、もう少し頻繁に更新していけたらなぁ…と思っています。


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Essence Music Festival 2012 観戦報告

EMF2012ロゴ1もう5ヵ月ほど前のことになりますが……今年の夏もEssence Music Festival(以下EMF)に行ってきた。いろいろあってブログ放置状態だったが、ようやく座談会形式のリポート原稿をまとめ上げた次第。

EMFは、アフリカン・アメリカンの女性ライフスタイル誌『ESSENCE』の主催で95年からニューオーリンズで行われている世界最大規模のブラック・ミュージック・フェス。もともとは雑誌の創刊25周年を記念したイヴェントとして95年だけ行うはずだったものが評判を呼び、慣習化してしまったという。今やジャズ・フェスやマルディグラと並ぶニューオーリンズ市をあげてのビッグ・イヴェントとなり、今年で18回目。毎年、独立記念日前後の3日間、NFLニューオーリンズ・セインツの本拠地である[Louisiana Superdome](改め現在は[Mercedes-Benz Superdome])で行われる(2006年のみ、前年のハリケーン・カトリーナの影響でドームが使えず、ヒューストンの[Reliant Stadium]で開催)。一日の観客動員数は約7万人(3日間で20万人超)とされ、そこに集うお客さんの99%はブラック・ピープル、アフリカン・アメリカンの人たちだ。僕個人としては、カトリーナが街を襲う直前の2005年の回から参加し、今年で8年連続の観戦となった。

ライヴは、アリーナの“メイン・ステージ”とドーム内に4つある小型スペースの“スーパー・ラウンジ”で行われ、5つのステージが同時進行する。メイン・ステージでは一日に4~5組、スーパー・ラウンジでは各ステージ2~3組のライヴが行われ、3日通して40組前後のアーティストが登場。当然ながらライヴの時間も重なるわけで、全てのステージをフルで観ることができない……というのは大型フェスにつきものの悩みだが、EMFの場合、出演者がR&Bアーティストだらけなので余計に頭を悩ませる。けれど、悩みに悩んで選んだステージは、観客それぞれの“自分はこのアーティストを見に来たんだ!”という気持ちが会場(特にスーパー・ラウンジ)に一体感をもたらし、昂揚感を生む。

初回から2009年までは最終日の大トリをメイズfeat.フランキー・ビヴァリーが務め、それがフェスの目玉となっていたのだが、一昨年からメイズが欠場。これには多くの非難の声が上がった。しかし、それを補って余りあるほど出演者は豪華で、新人からヴェテランまで、その年の最旬R&Bアーティストが勢揃いする(ヒップホップ・アクトや地元のブラス・バンドも毎年数組出演)。今年は、前夜祭的なイヴェントとして若手や新人のフリー・ライヴが行われたり、昼間にはブロック・パーティと銘打った野外ライヴも行われるなど、パワーアップ。フェス開催期間中、ドームから少し離れたミシシッピ川沿いのコンヴェンション・センターでは、EMFと連動したアフロ・セントリックなイヴェントも行われている。もう、何から何まで目が離せないEMFなのだ。

さて。御存知の方もいらっしゃるかと思うが、これまでは座談会形式によるEMFの観戦リポートをbmr誌で発表していた。そもそも同企画は、かつてbmr編集部に在籍していた金子穂積さんと僕が始めたもの。結果的にそれは7年続いた。が、昨年bmr誌が休刊となり、今年は発表の場がない。ならば……ということで、今回は、渡米前から座談会のことを気にかけていたメンバーで自主的にやろうということになった。メンバーは、これまでもEMFに何度か足を運ばれている大御所R&BライターのJAM氏、今回が初観戦となるシンガーのSHIROW氏、それに僕の3人。JAMさんとは、ヒューストンでの臨時開催回も含め何度かご一緒し、bmrでの座談会にも同席させていただいた。その“ひと言”には本当に重みがあり、今回も頷くことしきり。一方、SHIROWさんとは今年が初対面。お若い方だがR&Bに対する造詣が深く、シンガーならではの鋭い批評眼を持ちながら温かい眼差しがあり、趣味も僕とドンピシャなので、今回参加していただいた。いずれにしても、歌モノR&Bに目がない3人による座談会。なんたって今年のEMFのテーマは〈The Power Of Our Voice〉ですから! 開催期間は7月6日~8日の3日間。座談会は1日ごとに分けて行った。以下から各ページに飛んでもらえればと思う。


Day 1:7月6日(金)P1040900
Day 2:7月7日(土)
Day 3:7月8日(日)


各ページに掲載したアーティスト写真はブレまくりで、ド素人のそれ。綺麗な写真がネット上で出回っているなか何とも情けない限りだが、お許しいただきたい(メインステージの写真は1階席から巨大モニターを写したものです)。YouTubeにアップされている動画を貼り付ければ臨場感も出るのだろうけど、ここではあえてそれはやりません(そもそも会場内での動画撮影は禁止だったりする。写真撮影はOK)。

とにかく実際に現地で観るEMFは圧巻。そして、一度体験すると虜になってしまう。R&Bに詳しければ詳しいほど(これまでの音楽観を覆されるという意味で)ショックを受ける度合いが大きいのもこのフェスならではだと思う。R&B漬けの3日間。R&Bを趣味あるいは仕事の一部としている者にとって、これ以上のフェスはない。ここ1年のR&Bの動向が一気にわかる(わかった気になる)最高のショウケースとも言える。決してフェス好き・お祭り好きではない僕がこうも毎年通ってしまうのは、やはりEMFに、またニューオーリンズという街に特別な魔力があるからなのでしょう。

EMF2013のチケットは早くも発売開始。さて、来年はどうしよう……



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