2020-2021 R&Bトーク:林 剛×Yacheemi


Jhene AikoR&B常に進化し続け、いつの時代も新しく刺激的な作品を届けてくれる。ステイホームを余儀なくされた2020年(2021年の現在も)は、自宅で音楽に接する時間が増え、R&Bをよく聴いたという声が例年以上に多かった。一方で、聴いてはみたが、2010年代以降のR&Bがどういう状況になっているか、よくわからないという声もあった。個人的にはウェブ・メディアで2020年のベスト・アルバムを選んだりもしたが、シーン全体の総括はしておらず、2020年のR&Bがどんなものだったか、また、2021年に向かってどう進んでいるか、自分用にまとめておきたいと思った。そんなわけで、放置状態だった拙ブログにて、2020年の大晦日にZoomで行ったR&Bファンどうしによる趣味全開のトークを一方的にお届けする。対談のお相手は、ダンサー/DJとして活動するYacheemi(ヤチーミ)さん。ヒップホップ・グループ、餓鬼レンジャーのマスコット的存在であるタコ神様としても会場を熱狂させている鬼才で、R&Bを中心に、ヒップホップやレゲエなどを嗜む彼は、時に筆も握る。字数制限がない個人ブログなので、約3時間にわたってお喋りしたものを、ここではほぼそのままテキスト化した。なお、最後には2020年の個人ベストR&Bアルバム20を発表、ベストR&Bシングル30曲のプレイリストも公開している。聴きながらお読みいただけると嬉しい。(構成:林 剛)


Yacheemi @YacchiAFire

林 剛 @hystys

 

 

■2020年の気分

 

林剛(以下HYacheemiさんには、何度かイヴェントでDJをやってもらったりしていましたが、初めてお会いしたのがニューオーリンズ、Essence Festivalの時なんですよね。

 

Yacheemi(以下Y:そうですね。僕が初めてニューオーリンズに行ったのが2009年、20歳の時でした。雑誌『bmr』に掲載されていたEssence Fest.のリポートを読んで、こんな楽園みたいなフェスがあるのか!と思い、何の予備知識もないまま渡米。まさにR&Bファンにとってのパラダイスで大きな衝撃を受けました。それからEssecne Fest.には4回行っていますが、2回目の2015年に初めて林さんとお会いしました。

 

H:共通の友人による遠隔操作で現地合流しましたね。2019年は成田から一緒に行きましたが、ESSENCE』誌の創刊50周年でもあった2020年は新型コロナウィルスの影響で中止になってしまい。結局オンライン・フェスとして配信されたわけですが、既に発表されていた(中止になった)ラインナップには、ジャネット・ジャクソンやパティ・ラベルのようなヴェテラン、初出演のブルーノ・マーズ、小会場のラウンジにはアリ・レノックスやキアナ・レデイ、SiRDスモークなどの名前があって、特にラウンジの出演者はこれぞ2020年!といった感じで期待も大きかった。現地開催の中止は残念でしたが、とはいえ、フェスに行かなくても音楽そのものは十分楽しかった2020年ではありました。

 

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                      幻に終わったEssence Fest.2020の出演予定者

 

Y:今年のキーワードのひとつとして大きく感じたのは癒しでした。コロナ禍での精神的な癒しもそうだし、R&Bに関して言うと、アメリカで黒人として生きることへの不安を和らげるための癒しだったりと、少しでもネガティヴな状況を打開するような音楽が必要とされていた気がします。

 

H:それは例えば、ジェネイ・アイコ『Chilombo』のサウンド面におけるヒーリング感だったり、ティヤーナ・テイラーが“Still”で、アメリカで黒人として生きることとは?と問いかけたそういう歌のこと?

 

Y:まさにですね。ジェネイ・アイコの場合はサウンドにシンギング・ボウル(orクリスタル・ボウル。ネパール仏教やチベット密教にて使われてきた法具)が使われて瞑想的な一面もあったり、アリシア・キーズ『ALICIA』も2020年の日常に寄り添って作られた力強い作品だった。気持ちを上げてくれるような作品という意味では、パーティ・ソングも充実していましたね。

 

H:ポップ・フィールドでもジェシー・ウェアやカイリー・ミノーグらが直球なディスコ・アルバムを出してきたりする中、ドージャ・キャットの“Say So”とか、ヴィクトリア・モネイとカリードの“Experience”みたいなダンス・ナンバーが注目を集めた。密なダンス・フロアでは踊れないけど、脳内でミラーボールを回してくれるような、自宅でも気分を昂揚させるような曲は確かに多かったかもしれない。

 

Y踊りがもたらす効果も結果的には癒しなのかな、と。あとはSNSを中心に若い世代でよく使われるVibeMoodといった、抽象的な心地よさを重視した楽曲も増えた印象。いわゆるR&B/ゴスペル的なスキルフルさはなくても、耳心地のよいMoodyなヴォーカルを携えた新人アーティストが顕著に見られました。

 

H:加えて、ここ数年の女性アーティストの活躍、ウーマン・パワーが炸裂した年という印象もあったかも。2010年前後に再スタートを切ったジェネイ・アイコ、あと、ケラーニあたりが土壌を作って、3年くらい前にエラ・メイやH.E.R.がブレイクしてっていう流れで女性シンガーの勢いが増してきたこともあるけど、アリシア・キーズやアリアナ・グランデみたいなポップ・アイコンと呼べる人がフェミニズムの先頭に立って、それがR&Bシーン全体に及んでいるというのが、2020年は特に強く感じられた。2000年前後のデスティニーズ・チャイルドやTLCなんかのダメ男叩きの曲とは違った、より思慮深さが感じられるというか、人種や性も含めた、より幅広い層にアピールする曲が増えている。それだけに、ティヤーナ・テイラーが第63回グラミー賞の〈最優秀R&Bアルバム部門〉にノミネートされたのが男性ばかりだったことに対して、これじゃ〈最優秀男性アルバム部門〉でしょ…」と不満をぶちまけた気持ちもよくわかる。

 

 

サンプリング、オマージュから見る近年のR&B

 

H:2020年に始まったことではないけど、R&Bの曲で使われるサンプリング・ソースやオマージュの対象がガラッと変わった。90~00年代のR&B7080年代のソウルやファンクのネタが目立っていたのが、2010年代以降になると9000年代前半のR&Bやヒップホップを使う曲が増えてきて、特にここ数年はその傾向が一段と強くなった。歌い手や作り手の世代が切り替わったんですね。

 

Y:そうですね。特に2020年は、アルバムに必ず1曲は9000年代前半のネタ使いがあるんじゃないかと思うくらい頻用されました。

 

H:例えば、エムトゥーメイの“Juicy Fruit”83年)は昔から定番中の定番ネタで、2020年にリリースされた曲では、キアナ・レデイfeat.マネーバッグ・ヨー&ビア“Labels”、エイドリアン・マーセル“NoWhere”V.ボーズマン“Juicy”Ne-Yo feat.ジェレマイ“U 2 Luv“などと続いて、つい最近もレイトン・グリーンの“Chosen One”で使われていた。おそらく、これもエムトゥーメイの曲として使ったというより、“Juicy Fruit“を引用したビギー(ノトーリアスBIG)の“Juicy”94年)などを経由してのネタ使いなのでしょうね。

 

Y(ビギーの“Juicy”経由で)“Juicy Fruit”をサンプリングしたキーシャ・コールfeat.ミッシー・エリオット&リル・キムの“Let It Go”だったりもするのかも。あと、2020年はザップの“Computer Love”85年)ここにきて何でこんなに被るんだというくらい使われている。

 

H:これも以前から使われていた超定番ネタだけど、2020年は続きましたね。チャーリー・ウィルソンfeat.スモーキー・ロビンソン“All Of My Love”のトークボックスでザップ/ロジャーを匂わせているのは直球でザップ/ロジャーへのオマージュだと思うんだけど、若手シンガーの場合は2パックとかを経由しての引用のはず。例えばクイーン・ナイジャが新作『missunderstood』の収録曲でメイズの“Happy Feelin’s”とかデバージの“A Dream”を引用していたけど、あれはきっと両曲を使っていた2パックへのオマージュ。サグライフへの共感みたいなところもあるのかもしれない。それらの曲を使うというアイディアはナイジャ本人ではなく、プロデューサーなのだろうけど。


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 Y:聴く世代によって思い起こす曲が30年以上違うこともありますよね。サンプリングのサンプリングじゃないけど、ワンクッションあることで新しい楽しさもある。ヒップホップ界隈でいうとヤング・バーグことヒットメイカのプロデュース作はR&Bファンのツボをついてくる曲も多かった。O.T.ジェナシスの“Back To You”(ボンゴ・バイ・ザ・ウェイとの共同プロデュース)ではギャップ・バンドの“Outstanding”82年)をサンプリングして、本家のチャーリー・ウィルソンをクリス・ブラウンと共に迎えて歌わせたり。それこそ2000年代初期のジャ・ルールとアシャンティのような、ヒップホップとR&Bが元気に交わってる空気感がありましたね。

 

H:そういう元気な感じは、確かに2000年代ぽい。共演ではないけど、ジョニー・ギルの“My My My”90年)を速回しで引用したリル・モジーの“Blueberry Faygo”2000年代感ありましたね。

 

Y:あと今年カーディ・Bとの“WAP”で大躍進したミーガン・ジー・スタリオンの『Good News』も、ミシェレイ“Something In My Heart”やアディーナ・ハワード“Freak Like Me”などR&B曲の引用が多かった。

 

H:確かに。クイーン・ナイジャの話に戻すと、“Pack Lite”がそうだけど、エリカ・バドゥの曲を引用したオマージュも目立った。タイ・ダラー・サインの“Tyrone 2021”とか。存在自体がエリカへのオマージュみたいなアリ・レノックスもいますけど、80~90年代生まれの世代にとってはエリカの存在は大きい。

 

Y:サンプリングとして引用している部分が、歌詞の内容も引き継いでいるのが面白いですね。タイ・ダラー・サインの“Tyrone 2021”も、エリカの“Tyrone”への男性側からのアンサーになっていたりとか、クイーン・ナイジャの“Pack Lite”もエリカの“Bag Lady”のフレーズを男性に向けて使ったりと、サウンド面だけじゃなくてリリックでも強烈な影響を与えているんだなというのは再確認しました。

 

H:ティヤーナ・テイラーの“Lowkey”はエリカの“Next Lifetime”を引用した上にエリカ本人も招いて、現世では恋人になれない関係だから来世で恋をしましょうみたいな歌にしていた。それにエリカ本人も、コロナ禍のステイホーム期間にわりと早い段階でライヴ配信をしたり、バトル配信シリーズのVerzuzでジル・スコットと組んだり、自分のアルバムは出さなかったけど、露出が多かった。そういえば、エリカのバック・ヴォーカルをやっているデュランド・バーナーが強力な新作『Dur&』を出しましたね。ここでもアリ・レノックスと共演した“Stuck”がザップの“Computer Love”使いでしたが。

 

Y:デュランドは、やっと世に名前が知れ渡ってきた、という感じですよね。アクロバティックかつフェミニンなヴォーカルはラサーン・パターソンにも近いかな。彼の楽曲しか聴いたことのない人は、普段のハイテンションなキャラクターを知ったらびっくりするかも。人柄も含めてクセになる存在です。


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H:エリカの繋がりで言うと、エリカやロイ・ハーグローヴの出身校として有名なダラスのブッカー・T.ワシントン高校舞台芸術校に通っていたLiv.e(リヴ)が個人的には気になる存在で。2020年に出した『Couldn’t Wait To Tell You…』はジョージア・アン・マルドロウやエンダンビみたいなプログレッシヴでローファイな質感のネオ・ソウル〜オーガニック・ソウル・アルバムで、気に入ってアナログも買った。この人、RC&ザ・グリッツやコリー・ヘンリーのザ・ファンク・アポストルズのメンバー、タロン・ロケットの妹(or姉)なんですよね。個人的にメチャクチャ注目しています。

 

Y:ネオ・ソウルといえば、パリ生まれでNY育ちのアデュリーンのEP『Intérimes』もエイドリアナ・エヴァンスみたいでお気に入りでした。あとはアッシャーも2019年あたりから活動的で、ここにきて若々しさを取り戻していますよね。エラ・メイを迎えた“Don’t Waste My Time”などのシングルもありましたが、サンプリングでは2019年にサマー・ウォーカーと共演した“Come Thru”“You Make Me Wanna…”97年)が使われていたり、2020年もdvsn feat.スノー・アレグラの“Between Us”“Nice & Slow”97年)が使われていたりとか。あと、自分の曲では“Bad Habits”が、それこそザップの“Computer Love”使いだった。

 

H:今や、アッシャーの90年代ヒットをR&Bクラシックとして親しんできた世代が主流なんですね。アッシャー自身は、ゼイトーヴェンと組んだ2018年のEP“A“』から、改めて現行シーンに乗り込んできた感があります。対して、9000年代にR&Bのキングとして君臨したR.ケリーがR&Bの世界から完全に消えた。『サバイビング・R.ケリー』という、R.ケリーに被害を受けた女性たちの告発ドキュメンタリーを観ると、そりゃダメだとなるのだけど、今後彼の作品を聴くか聴かないかはリスナー次第として、それでも過去の作品は無視できないし、捨て去ることもできない。カーディ・Bとブルーノ・マーズの“Please Me”が、どう聴いてもR.ケリー“Sex Me”93年)のオマージュだったように、今も誰かがケリーのムードを求めている。2020年の曲でいえば、タイ・ダラー・サインの“By Yourself”feat.ジェネイ・アイコ&マスタードは、R.ケリーが手掛けたチェンジング・フェイシズ“G.H.E.T.T.O.U.T.”97年)の、ビリー・パイパーのヴァージョンを使っていて。

 

YR.ケリーというキーワードを出さずにR.ケリーにオマージュを捧げている、と。

 

H“G.H.E.T.T.O.U.T.”R.ケリーが書いているからクレジットは入るけど、R.ケリーが楽曲制作に直接タッチしていないビリー・パイパーのヴァージョンを使うという屈折したネタ使い。推測ですけどね。とにかく、R.ケリーが作ったムードは今もうっすら漂っていて、おそらく今後も引き継がれていくと思う。本当はR.ケリー以上に人間的に問題があったとされる(のに神格化されている)マーヴィン・ゲイのムードがいまも健在なように。

 

Y:そういう意味では、今年アルバムを出したトレイ・ソングス(『Back Home』)やオーガスト・アルシーナ(『The Product III: stateofEMERGEncy』)も、それぞれ自分をクリーンに保ちつつ、サウンド的にはR.ケリーの影響をモロに受けている。まぁ、オーガストはジェイダ・ピンケット・スミスとの過去の恋仲を暴露して世間を騒がせていましたが…。一方で、シリーナ・ジョンソンはR.ケリーが書いた曲はもう歌わないという宣言をしましたね。


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H:シリーナは、代表曲と言える曲がR.ケリーのソングライティング/プロデュースだったりするから複雑というか、これまでのキャリアが否定される感じになってしまったわけだから本当に気の毒で

 

Y:それでもR.ケリーの曲を歌わないという道を選んだシリーナの最新アルバムのタイトルが『Woman』だったのもグッときました。

 

H9000年代R&Bネタの話で言えば、ブライソン・ティラーがデビュー・アルバム『Trap Soul』からかなり意識的に使っていて、それをトラップ・ビートのR&Bとして今の音楽として成立させている。2020年に出した“Inhale”も、その流れを汲んだ一曲。

 

Y“Inhale”は文章で説明しづらいですが、SWV“All Night Long”とメアリー・J.ブライジの“Not Gon’ Cry”、どちらも映画『ため息つかせて(Waiting To Exhale)』のサントラ(95年)からのサンプリングで、Exhaleの反対語で“Inhale”だと。でも、そのトラックは別の(DpatことDavid Patinoの)楽曲“Exhale”としてリリースされていたという

 

H:そのややこしい経緯をTwitterに書いた記憶がありますが、まあ、映画『ため息つかせて』へのオマージュなのでしょう。ブライソン・ティラーの新作は、最初『Serenity』というタイトルがアナウンスされていたのが、それは後で発表されるようで、その前に『Trap Soul』の5周年で『ANNIVERSARY』というタイトルで出したという。

 

Y:さすがトラップ・ソウルの先駆者だけあって、“Inhale”を含め随所にサンプリングのセンスを感じた作品でした。ネタさえ良ければ何でもいい、というわけにはいかないですからね。

 

H:ネタというかビートに関して言うと、近年はType Beat音楽クリエイターが“○○っぽいビートとして制作し、オンライン販売しているインストのビート)の使用もあるようで。どの程度R&Bの曲に用いられているかは把握できていないのですが。

 

 

存在感を示したアーティスト

 

YH.E.R.の存在感は相変わらず大きかったですね。アルバムは出さなかったですけど、スキップ・マーリーとの“Slow Down”も含めて、2020年に出したシングルをまとめただけでアルバムになるんじゃないかというくらい。

 

H:トニ・ブラクストンのアルバム『Spell My Name』にはギタリストとしてフィーチャーされていた。特にDマイルが手掛けた“I Can’t Breathe”2020年を象徴するという意味ではインパクトが大きかったですね。ミネアポリスでのジョージ・フロイド殺害事件を受けて作られた、ブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動に関連したプロテスト・ソング。ビル・ウィザーズやジェイムス・ブラウンのバラードに通じるディープな曲で、スポークンワーズの部分にギル・スコット=ヘロンの“The Revolution Will Not Be Televised”の一節を交えていたのも印象的で。これを奴隷解放記念日(JUNETEENTH)にあたる619日にリリースするという。


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Y:一曲ごとのインパクトやクオリティの高さに、アーティストとしての成熟を感じましたね。

 

H:存在として突き抜けた。2000年代にアリシア・キーズが、楽器を弾くシンガー/ソングライター的な風情でスーパースターになっていった時のことを思い起こさせるのが今のH.E.R.。そういえばアリシアもH.E.R.も、MBKプロダクションを主宰するジェフ・ロビンソンに育てられた人で、育て方、売り出し方が似ているのかもしれない。

 

YH.E.R.と名乗る前に、ギャビ・ウィルソンとしてTVショウでアリシアの曲を披露していましたね。“Do To Me”でのレゲエ路線やYGとハードコアに絡む“Slide”だったり、ストリートとの距離感も近しいものがあります。あと客演の数で言うと、『Featuring Ty Dolla $ign』というアルバムを出したタイ・ダラー・サインはもちろんですが、アリ・レノックス、ラッキー・デイ、キアナ・レデイは重要な作品には必ず名前が出てきた。しかも参加している曲がどれも良い出来で、今必要とされている存在なんだなと思います。アリとラッキーは2020年にアルバムを出していないけど(デラックス・ヴァージョンを除く)、今年の客演の顔かなと。

 

H:キアナ・レデイのアルバム『KIKI』にアリもラッキーが登場して、3人揃い踏み。あと、クイーン・ナイジャの『missunderstood』にもアリとラッキーが出てくる。キアナのアルバムは歌が良いのに加えて、デラックス版で加わった共演者も含めて、ゲストの人選がツボだった。特にジャクイースを招いた“Only Fan”はキース・スウェットの“Merry Go Round”90年)あたりをモチーフにしたようなスロウ・ジャムで最高だった。

 

Y:90年代R&Bファンの心をくすぐるメロディーが多いですね。もっと全米的にチャート・アクションがあってもいい才能だと思います。

 

H:確かに。アリ・レノックスとラッキー・デイに関しては、年末に出たGlobal Citizen Prizeの企画でラファエル・サディークが音頭を取ったカヴァー・アルバム『Stand Up』にも登場した。ラッキー・デイ×ビッグ・フリーダ×BJRNCKによるウィリアム・デヴォーン“Be Thankful for What You Got”は我が意を得たりというか、ラッキーとフリーダのニューオーリンズ出身者がこの名曲で繋がったのは本当に感慨深くて。ニューオーリンズも僕ら的に外せないキーワードだけど、PJモートンも相変わらず精力的に活動しているし、タンク・アンド・ザ・バンガスも含めて、お互いの作品で共演し合ってソウル・コミュニティっぽいシーンが形成されているようで、今後がますます楽しみ。

 

Y:ビッグ・フリーダのシャウトが入るだけで一気にニューオリンズ気分になれる。アトランタでいうリル・ジョンみたいな存在感ですね。

 

H:まさに! 2000年代のリル・ジョン、そして、2000年代から活動していたけど、現代のビッグ・フリーダ。

 

Y:タンク・アンド・ザ・バンガスのEPFriend Goals』にもニューオーリンズ・バウンスの曲がありましたが、最近はR&B界隈でも増えてますね。クリス・ブラウンとヤング・サグの“Go Crazy”もそうですし、コリン・ホーソーンの“Sunday“みたいなゴスペル・バウンスみたいなのも。バウンスがくるとつい喜んじゃう。


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H:コリンはニューオーリンズの人なので、それなりに意識しているでしょう。ニューオーリンズのアーティストは今後も追い続けていきます。で、2020年は、さっきも名前が上がったクイーン・ナイジャがフル・アルバムを発表して、客演もそれなりに多かった。ルー・ケルの“Want You”もそうだし。

 

YNe-Yo feat.ジェレマイ“U 2 Luv”のリミックスにもフィーチャーされていましたね。日本の知名度は高くないですが、本国でのファンベースは確固たるものがある。言葉の詰め方だったりソングライティングのセンスは、エクスケイプのキャンディに近いものを感じたり。アルバムも良かったです。

 

H:個人的には、2017~2018年に出した“Medicine”“Karma”2019年の“Away From You”みたいなシングルを改めて入れてくれたらもっとパキッとしたんじゃないか?とも思ったのだけど、懐かしさが先に立ってしまうからかな?ともあれ、あのペタペタした人懐っこいヴォーカルはクセになる。『アメリカン・アイドル』で途中敗退するも、ユーチューバーとして注目されてシンガーへというキャリアは今っぽいけど、本当にしっかり歌える人だから。オーディション番組で敗れても、今はSNSでセルフ・アピールできる。それを最大限に活かしたのが彼女。

 

Y:そっちの方がパワフルだったりしますからね。オーディション番組で勝ち上がったという肩書きがあまり意味をなさなくなった。

 

H:ルーベン・スタッダードやジェニファー・ハドソンあたりは、『アメリカン・アイドル』のファイナルまで行ったことが強みになって信頼に繋がったけど、現代はもう何かの権威に頼ることが最良とは限らない。そういえば、“YouTubeでのパフォーマンスが注目を集めてデビューみたいな売り文句が、まだ新しく思えた時代に登場したのがジャスティン・ビーバー。ジャスティンは2020年、自分のルーツだと言うR&Bを意識したアルバム『Changes』を出したけど、先行シングルの“Yummy”を含めて個人的には相当ハマった。

 

Y:“Yummy”のリミックスにはサマー・ウォーカーも参加しましたね。ケラーニとの“Get Me”もバッチリだった。

 

H:カナダ出身者だと、サヴァンナ・レイという女性シンガーがいて、彼女のシングル“Solid”がキーシャ・コールの“Love“を現代に蘇らせたみたいなオーセンティックなスロウで、たまらなかった。旦那さんがYogiTheProducerっていう、ケラーニの新作『It Was Good Until It Wasn't』にも関わっている人で、本人もベイビーフェイスと曲を書いていたこともあるようなので、今後が楽しみ。それこそ、タミアとかデボラ・コックス、メラニー・フィオナみたいに、カナダを飛び越えてアメリカでブレイクしそうな予感。

 

Y:そう思うとカナダ勢はザ・ウィークエンドやdvsn、パーティーネクストドア、ジェシー・レイエズなど、今年リリースがあった人たちだけでも個性的なタレント揃い。ケイトラナダもモントリオール出身だし、ダンス・ミュージックのセンスがピカイチですね。

 

 

ヴォーカルの傾向

 

Y新人のアーティストも耳馴染みのいい楽曲がたくさんあったんですが、いかんせんヴォーカルの匿名性も強い。K.ミシェルだったり、今度ニュー・アルバムを出す(202118日に『Heaux Tales』を発表した)ジャズミン・サリヴァンを聴いちゃうと、やっぱり歌声のパンチ力はR&Bに必要不可欠だな、と思ってしまった。


H:まずヴォーカルありきのジャンルだから。ただ、近年のR&Bにおけるヴォーカル・スタイル、特に女性シンガーに顕著なのが、ジェネイ・アイコに代表される、ソウルフルとは言えない、舌足らずというか甘えたような声。2000年代半ば、Ne-Yoが出てきた時、よく言えばセクシーでスウィート、でも従来のR&Bシンガーと比べると薄口な、高めのトーンの声が苦手というリスナーも多かったけど、そういう人が主流になっていくとこちらの耳も慣れてきて、だんだんいいなーと思えてくる。Ne-Yoの歌声は、呟くような歌い方をする人が主流の今では、むしろ濃いと感じるほどですが。とにかく現代の女性シンガーは、あの舌ったらずな声が主流で

 

Y:元を辿るとアシャンティ、10年代だとティナーシェとかの系譜なんですかね。思えばキャシーの舌ったらず感は今っぽい…。

 

H:やっぱりジェネイ・アイコの影響が大きいかも。そうやって似た声のシンガーが次々と出てくる状況も含めて、現代の女性シンガーの台頭は、90年代にメアリー・J.ブライジのフォロワーが雨後の筍の如く出てきた感じにも似ている。ジェネイ・アイコ以降と言っていいのかわからないけど、クイーン・ナイジャやレイトン・グリーンみたいな人もアイコの流れを汲んでいる。『5th Element』というEPを出したアイヴィ・ジェイ(2002年生まれ)に至っては、クイーン・ナイジャからの影響を公言していて、時代がどんどん進んでいるなと

 

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Y:なるほど。ヒップホップ・ソウル期と同じく、今後も活動していく上で頭ひとつ抜けるには、自分のシグネチャーとなる歌唱スタイルが必要になりそうですね。あとは近年再評価の高いブランディをアイドルとする人も多い。アンダーソン・パークがサポートするインディア・ショーンなんかは、コーラスの重ね方や声のトーンもブランディ的。

 

H:ブランディは今年、DJキャンパーと組んで現代風に攻めた新作『b7』を出しましたね。ブランディの歌唱はヴォーカル・バイブルとして崇められているけど、彼女の影響力は今も大きい。近年は“I Wanna Be Down”94年)のリミックス・ヴァージョンがフェスやアウォードなどでブランディを含めた女性シンガー/ラッパーが歌っているのをよく目にするけど、今年はRoeという女性シンガーがこれ引用した“Wanna Be”という曲も出した。

 

Y:ブランディに加えて、アリーヤの影響も大きいでしょうね。

 

H2010年代以降の女性R&Bシンガーって、大雑把に言うとアリーヤとシャーデーのミックスというか、サウンドがシャーデー、歌がアリーヤ。そんな中、シャーデーが久々のアルバムで帰ってきそうな予感もあるけど。

 

Y:スノー・アレグラがまさにそのタイプと言えそう。

 

H:そう考えると、ジェネイ・アイコ以降と言っても、エラ・メイやH.E.R.はアイコと似ているようでタイプが違うというか、音の感触通り、懐かしさを含んだ、よりオーセンティックなソウルフルなヴォーカルで。だから、〈R&B is Alive!〉みたいなことを結構な頻度で言っているのもよくわかる。ヤングMA最近のR&Bにあんまりいいのがないと言って、PJモートンみたいな人がそんなことはないとはっきり言ってくれたりするのは本当に頼もしいです。

 

Y:これだけ良い新譜が出ているのに、聴かずして判断されるのは悔しいですしね。しかしヤングMAの発言をきっかけにしてか、タンクが〈R&B Money〉と謳って今このR&Bが熱いとSNSでリコメンド投稿したり(現在はほぼ筋肉写真のみ)、R&Bアーティストを自認する人たちのコミュニケーションが増えた気がします。

 

H:タンクは、自分のレーベルの名前がR&B Moneyですからね。2020年は『While You Wait』『Worth The Wait』というピアノ弾き語りのEP2枚出しましたが、数年前、Esssence Fest.で、まんまこのスタイル弾き語りのライヴを観ていて、R&Bの真髄を見せられた気分でした。R&B一直線。ハードコアR&Bって感じの。

 

Y:最近は音楽活動がご無沙汰のジェイミー・フォックスを思い出します。ハードコアR&B“というネーミング、いいですね。

 

H:脇目もふらず、その道を極める人。女性ならK.ミシェル。彼女の最新作『All Monsters Are Human』は2020年で最もガッツリ歌っているR&Bアルバムだったかもしれない。

 

Y:気持ちがいいくらいにド直球。逆に言うと、あまり気を衒わないR&Bアルバムは近年スポットが当たりづらいですね。リル・ロニーが手がけた“Something New”とか本当に素晴らしいです。シングルの“The Rain”はニュー・エディションの“Can You Stand The Rain”のサンプリングが話題になりました。

 

H:ニュー・エディションといえば、トレイ・ソングスfeat.サマー・ウォーカーの“Back Home”もニュー・エディション“If It Isn't Love”をモチーフにしていましたね。で、K.ミシェルだけど、今度カントリーのアルバムを出すそうで(20212月リリース予定)。ビリー・レイ・サイラスと一緒にやった曲も入ると。

 

Y:2020年の頭に出したミックステープでもカントリーの楽曲がありましたし、新作のMVではカウボーイ・ハットを被っていましたね。

 

H:キャリー・アンダーウッドのカヴァーをやったり、カントリーへのアプローチは今に始まったわけではないけど、メンフィスっ子というか、テネシー州出身者としての矜持みたいな感じなのかも。だから、「リル・ナズX“Old Town Road”のヒットに便乗して黒人シンガーの私もカントリーをやってみました、ではない的なことを本人も言ってます。最近亡くなった黒人カントリー・シンガーの草分けとして知られるチャーリー・プライドとか、フーティ&ザ・ブロウフィッシュのダリアス・ラッカーとか、その系譜にあるのかも。ドリー・パートンの書き下ろし曲を含むというカントリー・アルバムは楽しみにしています。と、話が少しそれましたが、男性シンガーだと、タンクやトレイ・ソングス以外にガッツリ歌える人というと

 

Y:個人的にはVedoが良かったですね。2013年にオーディション番組『The Voice』に出場して、審査員を務めたアッシャーのお気に入りだった人。ジャネット・ジャクソン“I Get Lonely”使いの“You Got It”がTikTokをきっかけにバイラル・ヒットしています。


 

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HVedoはまさにハードコアR&B。『For You』は素晴らしいアルバムだった。アッシャーfeat.エラ・メイ“Don't Waste My Time”でコ・ライトした実力派。あと、R&Bファンの間で人気が高かったのが、ジェイコブ・ラティモアのEPLeo Season』。ジェイコブは俳優でもあるけど、お父さんが2001年にMCAからアルバムを出したジャージー・アヴェニューのメンバーで、ケニー・ラティモアの親戚だとされる血筋の良さ。

 

Y:まさにR&Bサラブレッド!あとはケヴィン・ロスの一連の作品も充実していました。中でも“God Is A Genius”は、ラッキー・デイ“Roll Some Mo”も想起させる2020年屈指の名曲。

 

H:タイトルがゴスペルっぽいけど、ゴスペルじゃないよっていう。2枚のEPを合体させたフル・アルバム『Audacity Complete』も素晴らしくて、そこに収録されたライヴも聴き応えがあった。モータウンとヴァーヴの両ロゴが入った『The Awakening』(2017年)も快作だったけど、彼のオーセンティックなR&Bシンガーとしての魅力が、トレンドを意識するあまり消されていたような気もしていて。でも今回は、インディからのリリースで、自分の音楽性に正直なアルバムになっている。

 

Y:ケヴィン・ロス、ジェイコブ・ラティモア、タンクは全員エンパイア傘下のレーベルに所属してますね。ロイドやサミーもいるし、エンパイアは男性シンガー強し。

 

H:新世代の男性シンガーだと、2枚目のアルバムだけど、レヴィン・カリの『HIGHTIDE』が突き抜けていたな。ジ・インターネットにも通じる西海岸らしい開放感のあるネオ・ファンクというか。

 

Yゲストも前作に引き続きシド、タイ・ダラー・サインと西海岸勢。メロウなんだけどファンク魂がしっかりあるので、クラブDJからの人気も高かったです

 

H:お父さんがマザーズ・ファイネストのベース奏者、ジェリー・シーイなんですよね。それで思ったのは、タイ・ダラー・サインのお父さんがレイクサイドの元メンバー(タイロン・グリフィン・シニア)で、サンダーキャットやキンタローのお父さんもフレッド・ウェズリーがプロデュースしたカメレオンというバンドの元メンバー(ロナルド・ブルーナー・シニア)だったりするように、70年代後期から80年代中期にファンク・バンドで活動した人たちの息子で、LAで育った人たちのファンク魂というか、共通した空気感がある。意識しなくてもバックグラウンドが滲み出ちゃってるような。

 

Y直接的にサンプリングをしていないのに80年代の空気を纏っている。DNAに染みついているから自然なんですね

 

H:あと、男性シンガーではギヴィオン。サンファみたいな眠たそうな声が独特で、彼はヴォイス・オブ・ザ・イヤーって感じかな。尺的にはEPと言っていいアルバム『Take Time』は、第63回グラミー賞で〈最優秀R&Bアルバム〉にノミネートされた。

 

Y:元々はドレイクの“Chicago Freestyle”にフィーチャーされて話題を呼んだ人でしたね。


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H:その曲が出た時に、ドレイクのファンからサンファに間違えられたという。このギヴィオン、女性ではヴィクトリア・モネイが、2020R&Bの新人という感じかな。ヴィクトリア・モネイはキャリアが長いけど。

 

Y:ヴィクトリア・モネイは完全に新作で化けましたね。アリアナ・グランデのベスト・フレンドという触れ込みが先立っていたけど、全米的なタレントになった。セクシュアリティをオープンにして(彼女はバイ・セクシュアルを公言している)自由を唱えたカリードとの“Experience”も素晴らしかったし、新しいアイコンとしてどんどん成長しそう。

 

H:他には、ピンク・スウェッツやLonr.あたりがブレイクし始めた印象。ピンク・スウェッツは、まさに全身ピンクで決めて、テディ・ベアをマスコットにしている。

 

Y:ネクスト・カリードという印象ですね。彼自身がマスコットみたいで可愛らしい。

 

HLonr.は、ライヴを観て、R&B版のジュース・ワールドみたいな印象も受けたんだけど。

 

Y:確かに見た目はR&Bシンガーっぽくないですね。BETアウォードでもパフォーマンスしていたH.E.R.とのデュエット“Make The Most”は愛聴しました。

 

H“Make The Most”DJキャンパーの制作だけど、Lonr.H.E.R.のソングライティング・パートナーなんですよね。たぶん本名がイライジャ・ディアス。H.E.R.の舎弟的な存在で、その意味では、サマー・ウォーカーとNo1-Noahに近い関係かな。

 

Y:お抱えの、とまではいかないけど、勢いに乗ってる女性シンガーが送り出す男性シンガーということで要注目です。

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soul_ringosoul_ringo  at 20:35  |  この記事をクリップ! R&B  

Tyrese / Black Rose

Tyrese9月くらいにEssence Festivalのリポートを書こうかな……あと『新R&B入門』についても書かないと!と思ったのだけど、ブログの書き方を忘れかけていたので、1年ぶりくらいに更新してみた。以下、朝、起きがけにFacebookに書いた駄文のコピペ。

朝から晩まで、気がつけばタイリースの“Shame”を聴いている…という日々が(NOLA滞在時も含め)1ヵ月以上続いている。サム・ディーズ作のアトランティック・スター名曲“Send For Me”をさりげなく引用し、サム・クックを起点とする濃厚なソウル/ゴスペルの血脈を受け継ぐシャウト交じりの激唱で、実直かつエモーショナルに歌い上げ るソウル・バラッド。贅沢にもバック・ヴォーカルの一員として起用されたジェニファー・ハドソンは、アルバムにフィーチャリング・シンガーとして参加したクリセット・ミシェルやブランディよりも圧倒的な存在感を示す。聴きながら拳を握りしめてしまうような、どこをどう切っても“ソウル”としか言いようがない曲に、2015年という時代に出会えたことが、ただただ嬉しい。個人的には、年内にこれを凌ぐ名曲に出会わない限り、2015年のNo.1 R&Bソングとなりそう。制作はウォーリン・キャンベルで、DJ.ロジャーズJr.がペンを交え、ギターがワー・ワー・ワトソン。

ピアノ基調のシンプルなバックやクワイア調のコーラスなど、曲の作りは何となくサム・スミス“Stay With Me“と似てたりもするけど、サムの曲が(いい曲だけど)大仰でどこか壁があるというか心底のめり込めないのに対し、タイリースのこれはどっぷり浸れる。 これはもう個人の趣味でしかないが、勝手に比較させてもらうなら、一応R&Bと呼ばれるサムの曲と真正R&Bなタイリースの曲とでは、微妙なようで大きな違いがある。タイリースのシンガーとしての年季、LAのワッツ地区で育ったチャーチ・ルーツを持つ黒人としてのプライド……なんかもう気迫が違う。

この“Shame”を含むアルバム『Black Rose』は、早々に(自身初となる)全米アルバム・チャート1位を獲得。俳優としての人気等いろいろ要因はあると思うが、こういうストレートな R&Bアルバムが全米No.1を獲得するアメリカのチャートは頼もしいというか健全というか、やっぱりいいなぁと思ってしまうのであります。




soul_ringosoul_ringo  at 11:58  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 男性ヴォーカル | R&B 

Essence Festival 2013 観戦報告

EFESTIVAL13_LOGO_FINAL_Circle2013年は、たった1回更新しただけだった。本気でブログを閉鎖しようと思ったが、それでもEssence Festivalのライヴ・リポートは備忘録を兼ねて書いておきたい。2013年のうちには……と思っていたのが結局年を越してしまい、前日祭の〈Family Reunion Day〉のリポだけは書いたものの、それからアレやコレやで放置状態となり、気がつけば2014年も半年が終了。今年のEssence Fest.まで1週間をきったところで、さすがに行くまでには何とかせねばと思い、こうして久々にブログを書いている。
 まあ、そもそもライヴ・リポートが目的でフェスに行っているわけではないし、リアルタイムでFacebookやTwitterなんかに写真や映像を簡単なコメントとともにアップして、自分的にはそれでもう十分だったというのもある。とはいえ、とりあえず形だけでもやってくれという声も(ありがたいことに)少なからずあり、メモと薄れた記憶を頼りにまとめてみた。当初は例年通り座談会をするつもりだったが、まとめ役の僕が全く動けず、さすがに今からでは申し訳ないので、今年はTwitterの延長みたいな独り語りの雑記的な感じで。情報面も含め、かなりラフなリポートであることを予めお断りしておきます。
 Essence Fest.については、一昨年書いたコチラをお読みいただくとして。2013年からは、フェスの正式名称が、それまでのEssence Music FestivalからMusicが取れてEssence Festivalになった(なのでEMFという略語は使えない)。なんでも、音楽だけでなくブラック・カルチャー全体を包括したイヴェントにするということで、前日に〈Family Reunion Day〉みたいなイヴェントが加わったのもそういうことなのだろう。アフリカン・アメリカンの集いの場となるコンヴェンション・センターでの催し物も、それまでより若干グレードアップした印象を受けた。とはいえ、スーパードーム(Mercedes-Benz Superdome)で行われる3日間のライヴが中心であることに変わりはないし、自分にとってもそれが最大の目的であることに変わりはない。アーティストとのMeet&Greetとかは二の次。とにかくライヴそのものを楽しみたい。P1050460
 個人的にフェスへの参加は2013年で連続9回目。時間的・金銭的にかなり無理をしているが、R&Bの書き手としてこれほど収穫の多いイヴェントはないし、その年から翌年にかけてのシーンの動向みたいなものが掴めるので、ヘタに動き回るより、年一回、ニューオーリンズに飛んでしまった方が効率がいい。というわけで、2013年のEssence Fest.は、〈Family Reunion Day〉を含めて、7月4日~7日の4日間。リポートは以下からどうぞ。

Family Reunion Day:7月4日(木)
Day 1:7月5日(金)
Day 2:7月6日(土)
Day 3:7月7日(日) 

P1050885開催まで1週間をきった2014年のEssence Fest.(7月3日~6日)。今年はフェスが20周年、個人的には参加10年目という節目でもあり、感慨深い。出演者もここ数年ではダントツで豪華で、ランナップを見ているだけでもクラクラする。初日のメイン・ステージで行われるプリンスのショウ(ナイル・ロジャースも参戦! 前座扱いでジャネル・モネイ)から凄いことになりそうだ。個人的には、今やEssence名物のメアリー・J.ブライジやチャーリー・ウィルソンはもちろん、エリカ・バドゥ、ジル・スコット、レディシが揃って出演するあたりにも胸が熱くなるし、ジャギド・エッジ、112、デイ26といった男性ヴォーカル・グループ、それにセバスチャン・マイケル、セヴン・ストリーター、オーガスト・アルシーナ、キング、リヴ・ウォーフィールドのような新進気鋭もしくはインディ・アーティストのショウにも胸躍る。去年ドタキャンしたデイリーも今年は観られるか。同じく今年出演するマーシャ・アンブロウジアスとの“Alone Together”は、ぜひ生で観たいところだ。あとは復活したテヴィン・キャンベル。ザ・ルーツとテイマー・ブラクストンがメイン・ステージというのも凄いな。ワケあってミシェル・ウィリアムズも観ないといけない(笑)。ケリー・プライスも追加ときた! このぶんだと、ラヒーム・ディヴォーン、リーラ・ジェイムズ、SWV、エステル、エル・ヴァーナーあたりはパスしないといけないかな(何て贅沢な!)。ステファニー・ミルズも、もう一度じっくり観たいが。ライオネル・リッチーのショウを優雅に観ている暇はなさそう。せめて“All Night Long”だけでも……。
 P1050436さらに前日の〈Family Reunion Day〉にはエリカ・キャンベルやウェイナ、フル・フォース(!)が出るうえ、スーパードームでの前夜祭にはジャズミン・サリヴァン、K・ミシェル、ジェシー・ボイキンズIII、トレイ・ソングス、そしてナズが出演と、体が3つくらい欲しくなるほど。楽しみというより、どう動き回ればいいか、今から頭を悩ませている。今年のレポートは、やるとしたら大変そうだなぁ。



soul_ringosoul_ringo  at 13:07  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! Live | Essence Music Festival 

Davell Crawford / My Gift To You

Davell Crawford2013年、あけましておめでとうございます! と書いてる今は8月下旬。2013年も残すところあと4ヵ月となってしまった…。去年のクリスマスに更新してから音沙汰なし…ってことで、もう誰もチェックしてないだろうと思っていたら、最近会った人から「ブログ、辞めたんですか?」とか「Essence Fest.のリポ、早くやってよ!」と立て続けに言われたので、近況報告(?)も兼ねた言い訳の更新です(またか…)。

おかげさまでいろいろやらせてもらってまして、忙しい自慢に聞こえたらゴメンナサイなんですけど、今年は自分でもビックリするほどライナーノーツの仕事が多く、最近は2日に一本の割合でライナーを書いている感じ。7割がソウル系の再発、残りがR&Bの新譜で、とにかく猛烈な再発ラッシュということもあり、猫の手も借りたい…って感じなのでしょう(笑)。6月からはタブー・レコーズの国内再発(英Demonの企画を日本用にアレンジ&独自復刻)のお手伝いもしてたりして…そんなわけでブログなんて書いてる暇がない、ことはないんだけど気力がない。と言いつつ、Facebookでは、大半が顔見知りなのでエクスキュースを必要としないというか、間違えたり変なこと書いたりしても大目に見てもらえそうなので、新着の音ネタやライヴの感想なんかを思いついたままに書いていたりするのですが。もちろんブログも雑誌の原稿とは違って締切りや字数制限がないし、気軽に書けるはずなんだけど、それでも5分もかからずに書いてしまえるFacebookやTwitterに比べるとやっぱり構えてしまう。てなわけで、今回はFacebookに書くつもりで、推定10人くらいの読者の方に向けてEssence Fest.リポートまでの繋ぎの投稿を。

とはいえ、放置しすぎたせいでネタが山のようにある。昨夏のニューヨーク探訪もまとめたいけど1年経っちゃったし、今夏ニューオーリンズの帰りに寄ったシカゴでのアレコレもまとめたい。最近の話なら、Facebookで無駄に熱く語ってしまった“ロビン・シックvsマーヴィン・ゲイ遺族”についても、面白がるわけじゃないけど、ここで書いてもよかったのかな?とも。でも、やっぱり、ちゃんと書きたいのはR&Bのアルバム・リヴュー。R&Bは毎年面白いけど、今年も良盤だらけで、ホントにどんどん面白くなってる。オルタナティヴなそれじゃなくてメインストリームが。TGTとかK.ミシェルあたりも、がっつりリヴューしたい。で、思い出しちゃったけど、「2012年のR&Bベスト、やります!」とか言ったくせに結局やってないですね。もはや今さら…なので、超大雑把にシーンを俯瞰して一言で言うと、2012年メインストリームR&Bのトレンド(~2013年シーンの予兆)はサウンドトラック『Think Like A Man』にほぼ集約されていたのではないでしょうか。収録アーティスト、そしてプロデューサー/ソングライターのクレジットを改めて見てみてください。どうです? …これ以上は書きませんが。

で、ようやく本題。Essence Fest.リポまでの繋ぎってことで、今回はニューオーリンズ(NOLA)のネタ。今年からライターとして参加させてもらってる『ブルース&ソウル・レコーズ』誌(略称BSR。bmrの姉妹誌)で、ちょうど「ニューオーリンズの今」という特集が組まれてまして。これがBSRならではのブルース/ソウル視点で書かれた良記事で、そこで書かれてるライター諸氏の足元にも及ばないものの自分も昔から普通に、いや相当にNOLA音楽が好きで、今回の特集も(全部ではないけど)食い入るように読んでしまった。なにしろ、20年前、学生だった頃に“自分的音楽ルーツ探訪”と称してアメリカ一人旅をした時、最終目的地に選んだのがNOLA。その時は、まだディープな場所に行けず、観光名所ばかり見てつまんなくて、もう来ることはないかな…なんて思っていたのだけど、2005年にEssence Fest.に行き始めてから、今年で9回目。一番行っていたニューヨークを超えてしまった。そんなわけで、これまでにたまった思い出を語っていけばきりがないのだけど、トロンボーン・ショーティやダンプスタファンク、ホット・8・ブラス・バンドなど、個人的にも愛聴しているイキのいい現行NOLAミュージシャンの記事を読みながら今年の旅を思い出しているわけです。

今回の特集には、毎年Essence Fest.の特集も組んでいる地元の音楽/文化情報誌(フリーペーパー)『offBEAT』の編集長も寄稿していて、これもなかなかの読み応え。余談になるけど、フレンチ・クオーターを東に突き抜けると、フレンチメン・ストリートという、フレンチ・クオーターほどベタに観光地化されていないライヴハウスやレストランが並ぶ通りがあって、そこに行くと「『offBEAT』は無料の雑誌です。買わないように」という注意書きの看板みたいなのが目に飛び込んでくる。つまり、どこかの店から『offBEAT』を大量に取ってきて、事情を知らない観光客に売りつけて金を稼ぐ不届き者がいるわけだ(笑)。まあ、そんなところがニューオーリンズというかアメリカらしいのだけど。日本に置き換えると、例えばタワー・レコードが発行してる『bounce』とか『intoxicate』を路上で売っちゃうのと一緒。

そんなビッグ・イージーなNOLAへ向かう途中、ホット・8・ブラス・バンドやPJモートンの新作(PJの新作『New Orleans』は非NOLA録音だが)とともにiPodで聴いていたのが、6月に発売されたばかりのダヴェル・クロフォードの新作『My Gift To You』だった。BSRの特集には未掲載だったが、あの“Iko Iko”(の原曲“Jock-A-Mo”)のオリジネイターとして知られるジェイムズ“シュガーボーイ”クロフォードの孫であるダヴェル(75年生まれ)は、ゴスペルをルーツとする鍵盤奏者/ヴォーカリスト。今回の新作は99年リリースの『Born With The Funk』から14年ぶりとなるアルバムで、ハリケーン・カトリーナに関するアレコレも含めて、長い間たまっていたものをドバっと吐き出した(詰め込んだ)ような大作となっているのだ(録音期間は2011年10月~2012年8月)。ジャンル的には一応ジャズに分類され、今作では、お馴染みのNOLAクラシックを織り交ぜながら、彼自身による静謐なタッチのピアノと優しいヴォーカルで故郷NOLA/ルイジアナへの思いを綴っている。そして凄いのが、NOLA出身のミュージシャンを中心とした豪華ゲスト陣。ドクター・ジョン、ニコラス・ペイトン、スティーヴ・ライリー、ドナルド・ハリソンJr.、ウォルター“ウルフマン”ワシントン…と、NOLAの大御所がズラリ名を連ねているのだ(大御所ということではボビー・ハンフリーも参加)。

で、個人的にオッ!と思ったゲストが、70sフュージョン調の“River/White Socks & Drawers”にドナルド・ハリソンJr.やドクター・ジョンとともに名を連ね、ズケズケとラップをかましているクイーン・オブ・バウンスことビッグ・フリーダ(10月にニューEPを発表予定)。今や地元以外でも活躍する“NOLAバウンス界のシルヴェスター”とでもいった感じのドラァグ・クイーン/ラッパーで、現行NOLAアクトの代表として伝説の地元ミュージシャンたちと顔を突き合わせるという、この新旧NOLAのクセ者どうしの共演が、もう痛快すぎなのだ。こういうの大好き。また、カヴァーでは、今年のNew Orleans Jazz Fest.に出演したビリー・ジョエルの“The River Of Dreams”、ルイジアナ女性のサザン・ホスピタリティに感激して書かれたメイズの“Southern Girl”なんかも取り上げられていて、楽しい、楽しい。で、聴いてて思ったのは、このアルバム、佇まいがロバート・グラスパー・エクスペリメントの『Black Radio』に似てて…いや、実際は全然違うんだけど、ひょっとするとアルバム制作の後半あたりで刺激を受けたんじゃないかなぁ?なんて瞬間もあったりして。まあ、僕の勝手な解釈ですけど。

ともあれ、当たり前だけどNOLAは才能の宝庫。Essence Fest.のリポでも紹介する予定のウォーター・シードのようなアーバン・ソウル/ジャズ系アクトまで含めればホントにたくさんいる。R&Bでは、個人的に偏愛しているコートニー・ハート嬢とかも。ルイジアナ(州)まで広げれば、今年はレ・ジットの強力な新作も出たんだった。…と、ゴチャゴチャと書いてしまったが、次は(おそらく)Essence Fest.のリポ。来年のチケットが発売されるまでにはアップしたいと思っています。

 



soul_ringosoul_ringo  at 00:30  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! Jazz | New Orleans 

Essence Festival 2013:Day 3(7/7)

Flag【Main Stage】
TGT
(Tyrese/Ginuwine/Tank)(8:00PM)
Janelle Monae(9:10PM)
Beyonce(10:30PM)


【Super Lounge】
Coca-ColaMia Borders(7:30PM) Rachelle Ferrel(8:20PM&9:35PM)
McDonald / 365Black Awards:Luke James(7:05PM) Tamia(8:10PM&9:25PM)
FordDaley(7:00PM) Kourtney Heart(8:00PM) Mint Condition(9:15PM)
Covergirl(Curated by Janelle Monae):Alice Smith(7:45PM) Marsha Ambrosius(9:00PM)
※時間は当初の開演予定時間です。


■悲喜こもごものラウンジ
Michelle最終日。この日の昼はコンヴェンション・センターも盛り上がっていて、Essence誌の特設ステージではミシェル・ウィリアムズが司会を務めるトーク・イヴェントみたいなのがあって、自分が行った時はSWVがステージを後にするところだった。あと、Walmartのブースではラヴォーンのミニ・ライヴとサイン会が。ラヴォーンはサントラ『Think Like A Man』に収録されRavaughnた“Same Ol' BS”が評判で、アルバムも待たれているんだけど、ここでは“Better Be Good”を熱唱。ワーレイはいなかったけど。この人はショート・ヘアがデビュー時のトニ・ブラクストンを思わせて、何となく懐かしい気分にさせてくれる。初々しくていい。アルバムが一向に出ないのが心配ではあるけれど。

Daley?で、スーパードームでの本番。まず向かったのはラウンジで、デイリーの会場へ。デイリーはマーシャ・アンブロウジアスとの“Alone Together”がR&B系のラジオ局でヘヴィロテされていたこともあって、早い時間なのに結構な数のお客さんが集まっていた。UKはマンチェスター出身の白人シンガーだけど、若い黒人女性からの支持が厚い。が、開演時間になっても、なかなか始まらない。しばらしくして、「デイリーは遅れてるので、もう少し待って」というアナウンスがあり、DJタイムとなったのだが、30分経っても出てこず。Daleyがdelay……っていうのは駄洒落だけど、個人的には彼が今回の目玉のひとつだったし、別の時間にラウンジでショウがあるマーシャとのデュエットもあるはずと期待していたので待ち続けていたのだが、ふと彼のTwitterを見たら「今日のロンドンはいい天気だ!」とか呟いていて、ツイートを遡ると数日前に「Essence Fest.には行けなくなった」と呟いていた……。そもそもニューオーリンズに来ていなかったのだ。それなのに、それを知らせない主催者の何と悪質なことか。2014年にリヴェンジで出ることになったが、個人的には今回の恨みがあるので(笑)、相当いいショウをやってくれないと納得しないぞ。
Luke というわけで諦めてルーク・ジェイムズの会場へ。2年連続出演で、去年のリポートにもあるように、この人は本当にガッツリ歌えますね。アルバムまで時間がかかっているけど、2014年に入ってからはリック・ロスをフィーチャーした“Options”も出したし、早いところアルバムを出してほしい。こういういいシンガーに限ってリリースが頓挫したりするから。

Mia続いてもラウンジで、ルークと同じニューオーリンズのアーティスト。ミア・ボーダーズという女性シンガー・ソングライターで、R&Bというよりは、昔ながらの南部らしいカントリー寄りのオルタナティヴなソウルというか。この人のアルバムはチェックしていなかったので、何の曲を歌っていたのかわからなかったけど、こういうルーツ・ミュージック的な人をEssence Fest.で観ると妙に落ち着いたり。数曲で会場を離れちゃいましたが。
 その次にラウンジで観たアリス・スミスも、また別の方向のオルタナティヴなAliceR&Bシンガーというか、2013年にサイエンスらの制作で出したアルバム『She』でジェイムズ・ポイザーが鍵盤を弾いていたこともあって注目していたんだけど、ヴォーカルはCDで聴くよりエモーショナルで、しばらく聴き入っていた。後で知ったのだが、この人、ポイザーも関わっていたメンフィスのブルース・ロック系シンガー、シチズン・コープの奥さんだったそうで、なるほどと。

■遂にTGTが!
TGTメイン・ステージの一発目はTGT。去年はタンクのショウにタイリースが飛び入りして、「TGTを期待しててくれ!」という感じで終わったわけだが、今年はTGTとしてアルバム発表直前のライヴ。まず、3人それぞれのソロ・ステージで、最初に出てきたタンクはサイド・ヴォーカルにロニー・ビリアルを従えてガッツリ歌い込む。やはり盛り上がるのは“Please Don't Go”、かな。続いてジニュワイTankン。この人は、やっぱり“Pony”。でも、あの頃のわんぱくな印象はない。99年にNYの[アポロ・シアター]で彼のライヴを観たことがあるのだけど、あの時の全身性器みたいないかがわしさもなくて、何か普通に気のいい兄ちゃんというか。特にタンクの後だと余計にそう感じる。そしてタイリース。登場した時の歓声は圧倒的で、タンクの2倍、ジニュワインの3倍。俳優やってる人はやはり凄いと、改めて。曲は“Stay”が盛り上がる。そうして3人それぞれがソロ曲を2Tyrese~3曲歌い終えてからTGTとしてのショウが始まったんだけど、「これから“スリーメン・グループ・トリビュート”をやる。みんな、ジェラルド・リヴァートは好きか?」と言うから、リヴァートの曲を歌うんだ!と思ったら、歌ったのはベル・ビヴ・デヴォー“Poison”とガイの“Piece Of My Love”だったという。まあ、会場は大盛り上がりですけど。その後、ローズ・ロイスの“I'm Going Down”をメアリー・J.ブライジよろしく観客に合唱させて(笑)、結局、TGTのオリジナルは“Sex Never Felt Better”だけ。TGTの曲をライヴで披露できるほど、まだ歌い込んでいなかったのかな? 何だかアッサリなステージで、肩透かしを食らった。

Monetその次にメイン・ステージで観たのがジャネル・モネイ。数年前まではラウンジで控えめにショウをやっていた彼女も遂にメイン・ステージに昇格。〈Covergirl〉のラウンジのキュレイターを務めるくらいだし、本当にビッグになった。彼女も新作『The Electric Lady』を出す直前のライヴで、ロックン・ソウル的なショウを繰り広げてくれたのだけど……実はこの時、同伴者が客席でスリの被害に遭い、あまりライヴに集中できなかった。9年間Essence Monet 2Fest.に行っていて、これまではこういうことがなかったので驚いたが、悪質というか陰湿な嫌がらせをするヤツがいるもんで、僕自身が被害に遭ったわけではないが、改めて気をつけないと!と思った次第。普通に観ていれば危険なことは(軽く人種差別を感じる以外)ないが、やはり油断はできない。

Tamiaラウンジではこの前後にラッシェル・フェレルとコートニー・ハートもあったがパスし、ミント・コンディションを少しだけ観てタミアのステージへ。タミアを生で観るのは今回が初めてだったのだけど、運よく、聴きたかった曲の時に居合わせることができた。ひとつはクインシー・ジョーンズのアルバムで披露していた“You Put A Move On My Heart”(もとはミーシャ・パリスが歌っていたもの)。満員のラウンジ、予想通りの大合唱。この人はレコード通りにキッチリと力強い美声で歌ってくれる。もうひとつは最新作『Beautiful Surprise』のタイトル曲。これはバック・コーラスの女性と一緒に振り付きで歌ってくれた。数曲しか観られなかったけど、タミアは初日のエイヴリー・サンシャインと並ぶ今年の収穫だった。
 しっかり歌えるといえば、昨年に続いて出演したマーシャ・アンブロウジアス。デイリーが来ていれば、どっちかMarshaのステージで“Alone Together”の共演が実現していたのに……なんてことを思いながら向かったラウンジ。行ってみれば超満員。いろいろバタバタしてて少ししか観られなかったんだけど、この人は年々大物感を増していて、観客の声援もハンパない。ソプラノ・ヴォイスでの熱唱、シャウトの凄いのなんの。“Say Yes”とかを聴くと、やっぱりフロエトリーはマーシャがいてこそだったのかな?と思ったり。随分待たされている新作『Friends & Lovers』も楽しみ。2014年にも出演が決定しているが、次はデイリー(彼も出演予定)とのデュエットが聴けるか。

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