Tyrese / Black Rose

Tyrese9月くらいにEssence Festivalのリポートを書こうかな……あと『新R&B入門』についても書かないと!と思ったのだけど、ブログの書き方を忘れかけていたので、1年ぶりくらいに更新してみた。以下、朝、起きがけにFacebookに書いた駄文のコピペ。

朝から晩まで、気がつけばタイリースの“Shame”を聴いている…という日々が(NOLA滞在時も含め)1ヵ月以上続いている。サム・ディーズ作のアトランティック・スター名曲“Send For Me”をさりげなく引用し、サム・クックを起点とする濃厚なソウル/ゴスペルの血脈を受け継ぐシャウト交じりの激唱で、実直かつエモーショナルに歌い上げ るソウル・バラッド。贅沢にもバック・ヴォーカルの一員として起用されたジェニファー・ハドソンは、アルバムにフィーチャリング・シンガーとして参加したクリセット・ミシェルやブランディよりも圧倒的な存在感を示す。聴きながら拳を握りしめてしまうような、どこをどう切っても“ソウル”としか言いようがない曲に、2015年という時代に出会えたことが、ただただ嬉しい。個人的には、年内にこれを凌ぐ名曲に出会わない限り、2015年のNo.1 R&Bソングとなりそう。制作はウォーリン・キャンベルで、DJ.ロジャーズJr.がペンを交え、ギターがワー・ワー・ワトソン。

ピアノ基調のシンプルなバックやクワイア調のコーラスなど、曲の作りは何となくサム・スミス“Stay With Me“と似てたりもするけど、サムの曲が(いい曲だけど)大仰でどこか壁があるというか心底のめり込めないのに対し、タイリースのこれはどっぷり浸れる。 これはもう個人の趣味でしかないが、勝手に比較させてもらうなら、一応R&Bと呼ばれるサムの曲と真正R&Bなタイリースの曲とでは、微妙なようで大きな違いがある。タイリースのシンガーとしての年季、LAのワッツ地区で育ったチャーチ・ルーツを持つ黒人としてのプライド……なんかもう気迫が違う。

この“Shame”を含むアルバム『Black Rose』は、早々に(自身初となる)全米アルバム・チャート1位を獲得。俳優としての人気等いろいろ要因はあると思うが、こういうストレートな R&Bアルバムが全米No.1を獲得するアメリカのチャートは頼もしいというか健全というか、やっぱりいいなぁと思ってしまうのであります。




soul_ringosoul_ringo  at 11:58  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 男性ヴォーカル | R&B 

Essence Festival 2013 観戦報告

EFESTIVAL13_LOGO_FINAL_Circle2013年は、たった1回更新しただけだった。本気でブログを閉鎖しようと思ったが、それでもEssence Festivalのライヴ・リポートは備忘録を兼ねて書いておきたい。2013年のうちには……と思っていたのが結局年を越してしまい、前日祭の〈Family Reunion Day〉のリポだけは書いたものの、それからアレやコレやで放置状態となり、気がつけば2014年も半年が終了。今年のEssence Fest.まで1週間をきったところで、さすがに行くまでには何とかせねばと思い、こうして久々にブログを書いている。
 まあ、そもそもライヴ・リポートが目的でフェスに行っているわけではないし、リアルタイムでFacebookやTwitterなんかに写真や映像を簡単なコメントとともにアップして、自分的にはそれでもう十分だったというのもある。とはいえ、とりあえず形だけでもやってくれという声も(ありがたいことに)少なからずあり、メモと薄れた記憶を頼りにまとめてみた。当初は例年通り座談会をするつもりだったが、まとめ役の僕が全く動けず、さすがに今からでは申し訳ないので、今年はTwitterの延長みたいな独り語りの雑記的な感じで。情報面も含め、かなりラフなリポートであることを予めお断りしておきます。
 Essence Fest.については、一昨年書いたコチラをお読みいただくとして。2013年からは、フェスの正式名称が、それまでのEssence Music FestivalからMusicが取れてEssence Festivalになった(なのでEMFという略語は使えない)。なんでも、音楽だけでなくブラック・カルチャー全体を包括したイヴェントにするということで、前日に〈Family Reunion Day〉みたいなイヴェントが加わったのもそういうことなのだろう。アフリカン・アメリカンの集いの場となるコンヴェンション・センターでの催し物も、それまでより若干グレードアップした印象を受けた。とはいえ、スーパードーム(Mercedes-Benz Superdome)で行われる3日間のライヴが中心であることに変わりはないし、自分にとってもそれが最大の目的であることに変わりはない。アーティストとのMeet&Greetとかは二の次。とにかくライヴそのものを楽しみたい。P1050460
 個人的にフェスへの参加は2013年で連続9回目。時間的・金銭的にかなり無理をしているが、R&Bの書き手としてこれほど収穫の多いイヴェントはないし、その年から翌年にかけてのシーンの動向みたいなものが掴めるので、ヘタに動き回るより、年一回、ニューオーリンズに飛んでしまった方が効率がいい。というわけで、2013年のEssence Fest.は、〈Family Reunion Day〉を含めて、7月4日~7日の4日間。リポートは以下からどうぞ。

Family Reunion Day:7月4日(木)
Day 1:7月5日(金)
Day 2:7月6日(土)
Day 3:7月7日(日) 

P1050885開催まで1週間をきった2014年のEssence Fest.(7月3日~6日)。今年はフェスが20周年、個人的には参加10年目という節目でもあり、感慨深い。出演者もここ数年ではダントツで豪華で、ランナップを見ているだけでもクラクラする。初日のメイン・ステージで行われるプリンスのショウ(ナイル・ロジャースも参戦! 前座扱いでジャネル・モネイ)から凄いことになりそうだ。個人的には、今やEssence名物のメアリー・J.ブライジやチャーリー・ウィルソンはもちろん、エリカ・バドゥ、ジル・スコット、レディシが揃って出演するあたりにも胸が熱くなるし、ジャギド・エッジ、112、デイ26といった男性ヴォーカル・グループ、それにセバスチャン・マイケル、セヴン・ストリーター、オーガスト・アルシーナ、キング、リヴ・ウォーフィールドのような新進気鋭もしくはインディ・アーティストのショウにも胸躍る。去年ドタキャンしたデイリーも今年は観られるか。同じく今年出演するマーシャ・アンブロウジアスとの“Alone Together”は、ぜひ生で観たいところだ。あとは復活したテヴィン・キャンベル。ザ・ルーツとテイマー・ブラクストンがメイン・ステージというのも凄いな。ワケあってミシェル・ウィリアムズも観ないといけない(笑)。ケリー・プライスも追加ときた! このぶんだと、ラヒーム・ディヴォーン、リーラ・ジェイムズ、SWV、エステル、エル・ヴァーナーあたりはパスしないといけないかな(何て贅沢な!)。ステファニー・ミルズも、もう一度じっくり観たいが。ライオネル・リッチーのショウを優雅に観ている暇はなさそう。せめて“All Night Long”だけでも……。
 P1050436さらに前日の〈Family Reunion Day〉にはエリカ・キャンベルやウェイナ、フル・フォース(!)が出るうえ、スーパードームでの前夜祭にはジャズミン・サリヴァン、K・ミシェル、ジェシー・ボイキンズIII、トレイ・ソングス、そしてナズが出演と、体が3つくらい欲しくなるほど。楽しみというより、どう動き回ればいいか、今から頭を悩ませている。今年のレポートは、やるとしたら大変そうだなぁ。



soul_ringosoul_ringo  at 13:07  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! Live | Essence Music Festival 

Davell Crawford / My Gift To You

Davell Crawford2013年、あけましておめでとうございます! と書いてる今は8月下旬。2013年も残すところあと4ヵ月となってしまった…。去年のクリスマスに更新してから音沙汰なし…ってことで、もう誰もチェックしてないだろうと思っていたら、最近会った人から「ブログ、辞めたんですか?」とか「Essence Fest.のリポ、早くやってよ!」と立て続けに言われたので、近況報告(?)も兼ねた言い訳の更新です(またか…)。

おかげさまでいろいろやらせてもらってまして、忙しい自慢に聞こえたらゴメンナサイなんですけど、今年は自分でもビックリするほどライナーノーツの仕事が多く、最近は2日に一本の割合でライナーを書いている感じ。7割がソウル系の再発、残りがR&Bの新譜で、とにかく猛烈な再発ラッシュということもあり、猫の手も借りたい…って感じなのでしょう(笑)。6月からはタブー・レコーズの国内再発(英Demonの企画を日本用にアレンジ&独自復刻)のお手伝いもしてたりして…そんなわけでブログなんて書いてる暇がない、ことはないんだけど気力がない。と言いつつ、Facebookでは、大半が顔見知りなのでエクスキュースを必要としないというか、間違えたり変なこと書いたりしても大目に見てもらえそうなので、新着の音ネタやライヴの感想なんかを思いついたままに書いていたりするのですが。もちろんブログも雑誌の原稿とは違って締切りや字数制限がないし、気軽に書けるはずなんだけど、それでも5分もかからずに書いてしまえるFacebookやTwitterに比べるとやっぱり構えてしまう。てなわけで、今回はFacebookに書くつもりで、推定10人くらいの読者の方に向けてEssence Fest.リポートまでの繋ぎの投稿を。

とはいえ、放置しすぎたせいでネタが山のようにある。昨夏のニューヨーク探訪もまとめたいけど1年経っちゃったし、今夏ニューオーリンズの帰りに寄ったシカゴでのアレコレもまとめたい。最近の話なら、Facebookで無駄に熱く語ってしまった“ロビン・シックvsマーヴィン・ゲイ遺族”についても、面白がるわけじゃないけど、ここで書いてもよかったのかな?とも。でも、やっぱり、ちゃんと書きたいのはR&Bのアルバム・リヴュー。R&Bは毎年面白いけど、今年も良盤だらけで、ホントにどんどん面白くなってる。オルタナティヴなそれじゃなくてメインストリームが。TGTとかK.ミシェルあたりも、がっつりリヴューしたい。で、思い出しちゃったけど、「2012年のR&Bベスト、やります!」とか言ったくせに結局やってないですね。もはや今さら…なので、超大雑把にシーンを俯瞰して一言で言うと、2012年メインストリームR&Bのトレンド(~2013年シーンの予兆)はサウンドトラック『Think Like A Man』にほぼ集約されていたのではないでしょうか。収録アーティスト、そしてプロデューサー/ソングライターのクレジットを改めて見てみてください。どうです? …これ以上は書きませんが。

で、ようやく本題。Essence Fest.リポまでの繋ぎってことで、今回はニューオーリンズ(NOLA)のネタ。今年からライターとして参加させてもらってる『ブルース&ソウル・レコーズ』誌(略称BSR。bmrの姉妹誌)で、ちょうど「ニューオーリンズの今」という特集が組まれてまして。これがBSRならではのブルース/ソウル視点で書かれた良記事で、そこで書かれてるライター諸氏の足元にも及ばないものの自分も昔から普通に、いや相当にNOLA音楽が好きで、今回の特集も(全部ではないけど)食い入るように読んでしまった。なにしろ、20年前、学生だった頃に“自分的音楽ルーツ探訪”と称してアメリカ一人旅をした時、最終目的地に選んだのがNOLA。その時は、まだディープな場所に行けず、観光名所ばかり見てつまんなくて、もう来ることはないかな…なんて思っていたのだけど、2005年にEssence Fest.に行き始めてから、今年で9回目。一番行っていたニューヨークを超えてしまった。そんなわけで、これまでにたまった思い出を語っていけばきりがないのだけど、トロンボーン・ショーティやダンプスタファンク、ホット・8・ブラス・バンドなど、個人的にも愛聴しているイキのいい現行NOLAミュージシャンの記事を読みながら今年の旅を思い出しているわけです。

今回の特集には、毎年Essence Fest.の特集も組んでいる地元の音楽/文化情報誌(フリーペーパー)『offBEAT』の編集長も寄稿していて、これもなかなかの読み応え。余談になるけど、フレンチ・クオーターを東に突き抜けると、フレンチメン・ストリートという、フレンチ・クオーターほどベタに観光地化されていないライヴハウスやレストランが並ぶ通りがあって、そこに行くと「『offBEAT』は無料の雑誌です。買わないように」という注意書きの看板みたいなのが目に飛び込んでくる。つまり、どこかの店から『offBEAT』を大量に取ってきて、事情を知らない観光客に売りつけて金を稼ぐ不届き者がいるわけだ(笑)。まあ、そんなところがニューオーリンズというかアメリカらしいのだけど。日本に置き換えると、例えばタワー・レコードが発行してる『bounce』とか『intoxicate』を路上で売っちゃうのと一緒。

そんなビッグ・イージーなNOLAへ向かう途中、ホット・8・ブラス・バンドやPJモートンの新作(PJの新作『New Orleans』は非NOLA録音だが)とともにiPodで聴いていたのが、6月に発売されたばかりのダヴェル・クロフォードの新作『My Gift To You』だった。BSRの特集には未掲載だったが、あの“Iko Iko”(の原曲“Jock-A-Mo”)のオリジネイターとして知られるジェイムズ“シュガーボーイ”クロフォードの孫であるダヴェル(75年生まれ)は、ゴスペルをルーツとする鍵盤奏者/ヴォーカリスト。今回の新作は99年リリースの『Born With The Funk』から14年ぶりとなるアルバムで、ハリケーン・カトリーナに関するアレコレも含めて、長い間たまっていたものをドバっと吐き出した(詰め込んだ)ような大作となっているのだ(録音期間は2011年10月~2012年8月)。ジャンル的には一応ジャズに分類され、今作では、お馴染みのNOLAクラシックを織り交ぜながら、彼自身による静謐なタッチのピアノと優しいヴォーカルで故郷NOLA/ルイジアナへの思いを綴っている。そして凄いのが、NOLA出身のミュージシャンを中心とした豪華ゲスト陣。ドクター・ジョン、ニコラス・ペイトン、スティーヴ・ライリー、ドナルド・ハリソンJr.、ウォルター“ウルフマン”ワシントン…と、NOLAの大御所がズラリ名を連ねているのだ(大御所ということではボビー・ハンフリーも参加)。

で、個人的にオッ!と思ったゲストが、70sフュージョン調の“River/White Socks & Drawers”にドナルド・ハリソンJr.やドクター・ジョンとともに名を連ね、ズケズケとラップをかましているクイーン・オブ・バウンスことビッグ・フリーダ(10月にニューEPを発表予定)。今や地元以外でも活躍する“NOLAバウンス界のシルヴェスター”とでもいった感じのドラァグ・クイーン/ラッパーで、現行NOLAアクトの代表として伝説の地元ミュージシャンたちと顔を突き合わせるという、この新旧NOLAのクセ者どうしの共演が、もう痛快すぎなのだ。こういうの大好き。また、カヴァーでは、今年のNew Orleans Jazz Fest.に出演したビリー・ジョエルの“The River Of Dreams”、ルイジアナ女性のサザン・ホスピタリティに感激して書かれたメイズの“Southern Girl”なんかも取り上げられていて、楽しい、楽しい。で、聴いてて思ったのは、このアルバム、佇まいがロバート・グラスパー・エクスペリメントの『Black Radio』に似てて…いや、実際は全然違うんだけど、ひょっとするとアルバム制作の後半あたりで刺激を受けたんじゃないかなぁ?なんて瞬間もあったりして。まあ、僕の勝手な解釈ですけど。

ともあれ、当たり前だけどNOLAは才能の宝庫。Essence Fest.のリポでも紹介する予定のウォーター・シードのようなアーバン・ソウル/ジャズ系アクトまで含めればホントにたくさんいる。R&Bでは、個人的に偏愛しているコートニー・ハート嬢とかも。ルイジアナ(州)まで広げれば、今年はレ・ジットの強力な新作も出たんだった。…と、ゴチャゴチャと書いてしまったが、次は(おそらく)Essence Fest.のリポ。来年のチケットが発売されるまでにはアップしたいと思っています。

 



soul_ringosoul_ringo  at 00:30  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! Jazz | New Orleans 

Essence Festival 2013:Day 3(7/7)

Flag【Main Stage】
TGT
(Tyrese/Ginuwine/Tank)(8:00PM)
Janelle Monae(9:10PM)
Beyonce(10:30PM)


【Super Lounge】
Coca-ColaMia Borders(7:30PM) Rachelle Ferrel(8:20PM&9:35PM)
McDonald / 365Black Awards:Luke James(7:05PM) Tamia(8:10PM&9:25PM)
FordDaley(7:00PM) Kourtney Heart(8:00PM) Mint Condition(9:15PM)
Covergirl(Curated by Janelle Monae):Alice Smith(7:45PM) Marsha Ambrosius(9:00PM)
※時間は当初の開演予定時間です。


■悲喜こもごものラウンジ
Michelle最終日。この日の昼はコンヴェンション・センターも盛り上がっていて、Essence誌の特設ステージではミシェル・ウィリアムズが司会を務めるトーク・イヴェントみたいなのがあって、自分が行った時はSWVがステージを後にするところだった。あと、Walmartのブースではラヴォーンのミニ・ライヴとサイン会が。ラヴォーンはサントラ『Think Like A Man』に収録されRavaughnた“Same Ol' BS”が評判で、アルバムも待たれているんだけど、ここでは“Better Be Good”を熱唱。ワーレイはいなかったけど。この人はショート・ヘアがデビュー時のトニ・ブラクストンを思わせて、何となく懐かしい気分にさせてくれる。初々しくていい。アルバムが一向に出ないのが心配ではあるけれど。

Daley?で、スーパードームでの本番。まず向かったのはラウンジで、デイリーの会場へ。デイリーはマーシャ・アンブロウジアスとの“Alone Together”がR&B系のラジオ局でヘヴィロテされていたこともあって、早い時間なのに結構な数のお客さんが集まっていた。UKはマンチェスター出身の白人シンガーだけど、若い黒人女性からの支持が厚い。が、開演時間になっても、なかなか始まらない。しばらしくして、「デイリーは遅れてるので、もう少し待って」というアナウンスがあり、DJタイムとなったのだが、30分経っても出てこず。Daleyがdelay……っていうのは駄洒落だけど、個人的には彼が今回の目玉のひとつだったし、別の時間にラウンジでショウがあるマーシャとのデュエットもあるはずと期待していたので待ち続けていたのだが、ふと彼のTwitterを見たら「今日のロンドンはいい天気だ!」とか呟いていて、ツイートを遡ると数日前に「Essence Fest.には行けなくなった」と呟いていた……。そもそもニューオーリンズに来ていなかったのだ。それなのに、それを知らせない主催者の何と悪質なことか。2014年にリヴェンジで出ることになったが、個人的には今回の恨みがあるので(笑)、相当いいショウをやってくれないと納得しないぞ。
Luke というわけで諦めてルーク・ジェイムズの会場へ。2年連続出演で、去年のリポートにもあるように、この人は本当にガッツリ歌えますね。アルバムまで時間がかかっているけど、2014年に入ってからはリック・ロスをフィーチャーした“Options”も出したし、早いところアルバムを出してほしい。こういういいシンガーに限ってリリースが頓挫したりするから。

Mia続いてもラウンジで、ルークと同じニューオーリンズのアーティスト。ミア・ボーダーズという女性シンガー・ソングライターで、R&Bというよりは、昔ながらの南部らしいカントリー寄りのオルタナティヴなソウルというか。この人のアルバムはチェックしていなかったので、何の曲を歌っていたのかわからなかったけど、こういうルーツ・ミュージック的な人をEssence Fest.で観ると妙に落ち着いたり。数曲で会場を離れちゃいましたが。
 その次にラウンジで観たアリス・スミスも、また別の方向のオルタナティヴなAliceR&Bシンガーというか、2013年にサイエンスらの制作で出したアルバム『She』でジェイムズ・ポイザーが鍵盤を弾いていたこともあって注目していたんだけど、ヴォーカルはCDで聴くよりエモーショナルで、しばらく聴き入っていた。後で知ったのだが、この人、ポイザーも関わっていたメンフィスのブルース・ロック系シンガー、シチズン・コープの奥さんだったそうで、なるほどと。

■遂にTGTが!
TGTメイン・ステージの一発目はTGT。去年はタンクのショウにタイリースが飛び入りして、「TGTを期待しててくれ!」という感じで終わったわけだが、今年はTGTとしてアルバム発表直前のライヴ。まず、3人それぞれのソロ・ステージで、最初に出てきたタンクはサイド・ヴォーカルにロニー・ビリアルを従えてガッツリ歌い込む。やはり盛り上がるのは“Please Don't Go”、かな。続いてジニュワイTankン。この人は、やっぱり“Pony”。でも、あの頃のわんぱくな印象はない。99年にNYの[アポロ・シアター]で彼のライヴを観たことがあるのだけど、あの時の全身性器みたいないかがわしさもなくて、何か普通に気のいい兄ちゃんというか。特にタンクの後だと余計にそう感じる。そしてタイリース。登場した時の歓声は圧倒的で、タンクの2倍、ジニュワインの3倍。俳優やってる人はやはり凄いと、改めて。曲は“Stay”が盛り上がる。そうして3人それぞれがソロ曲を2Tyrese~3曲歌い終えてからTGTとしてのショウが始まったんだけど、「これから“スリーメン・グループ・トリビュート”をやる。みんな、ジェラルド・リヴァートは好きか?」と言うから、リヴァートの曲を歌うんだ!と思ったら、歌ったのはベル・ビヴ・デヴォー“Poison”とガイの“Piece Of My Love”だったという。まあ、会場は大盛り上がりですけど。その後、ローズ・ロイスの“I'm Going Down”をメアリー・J.ブライジよろしく観客に合唱させて(笑)、結局、TGTのオリジナルは“Sex Never Felt Better”だけ。TGTの曲をライヴで披露できるほど、まだ歌い込んでいなかったのかな? 何だかアッサリなステージで、肩透かしを食らった。

Monetその次にメイン・ステージで観たのがジャネル・モネイ。数年前まではラウンジで控えめにショウをやっていた彼女も遂にメイン・ステージに昇格。〈Covergirl〉のラウンジのキュレイターを務めるくらいだし、本当にビッグになった。彼女も新作『The Electric Lady』を出す直前のライヴで、ロックン・ソウル的なショウを繰り広げてくれたのだけど……実はこの時、同伴者が客席でスリの被害に遭い、あまりライヴに集中できなかった。9年間Essence Monet 2Fest.に行っていて、これまではこういうことがなかったので驚いたが、悪質というか陰湿な嫌がらせをするヤツがいるもんで、僕自身が被害に遭ったわけではないが、改めて気をつけないと!と思った次第。普通に観ていれば危険なことは(軽く人種差別を感じる以外)ないが、やはり油断はできない。

Tamiaラウンジではこの前後にラッシェル・フェレルとコートニー・ハートもあったがパスし、ミント・コンディションを少しだけ観てタミアのステージへ。タミアを生で観るのは今回が初めてだったのだけど、運よく、聴きたかった曲の時に居合わせることができた。ひとつはクインシー・ジョーンズのアルバムで披露していた“You Put A Move On My Heart”(もとはミーシャ・パリスが歌っていたもの)。満員のラウンジ、予想通りの大合唱。この人はレコード通りにキッチリと力強い美声で歌ってくれる。もうひとつは最新作『Beautiful Surprise』のタイトル曲。これはバック・コーラスの女性と一緒に振り付きで歌ってくれた。数曲しか観られなかったけど、タミアは初日のエイヴリー・サンシャインと並ぶ今年の収穫だった。
 しっかり歌えるといえば、昨年に続いて出演したマーシャ・アンブロウジアス。デイリーが来ていれば、どっちかMarshaのステージで“Alone Together”の共演が実現していたのに……なんてことを思いながら向かったラウンジ。行ってみれば超満員。いろいろバタバタしてて少ししか観られなかったんだけど、この人は年々大物感を増していて、観客の声援もハンパない。ソプラノ・ヴォイスでの熱唱、シャウトの凄いのなんの。“Say Yes”とかを聴くと、やっぱりフロエトリーはマーシャがいてこそだったのかな?と思ったり。随分待たされている新作『Friends & Lovers』も楽しみ。2014年にも出演が決定しているが、次はデイリー(彼も出演予定)とのデュエットが聴けるか。

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soul_ringosoul_ringo  at 00:25  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! Live | Essence Music Festival 

Essence Festival 2013:Day 2(7/6)

Billboard【Main Stage】
Solange
(6:30PM)
Keyshia Cole(7:35PM)
Trey Songz(8:35PM)
Charlie Wilson(9:40PM)
New Edition(11:30PM)


【Super Lounge】
Coca-ColaAvery*Sunshine(7:00PM) Bridget Kelly(8:00PM) Faith Evans(9:05PM)
McDonald / 365Black AwardsGreta Prince(7:10PM) Leela James(8:00PM) Jody Watley(9:25PM)
FordPJ Morton(7:35PM) F.Stokes(8:30PM) Big Daddy Kane(9:10PM&10:25PM)
Covergirl(Curated by Janelle Monae):Deep Cotton,Roman GianArthur,St.Beauty(7:20 PM) Bilal(9:15PM)
※時間は当初の開演予定時間です。


■圧巻だったエイヴリー・サンシャイン
Solange2日目。この日のメイン・ステージは早めの開演で、ソランジュから。これまではラウンジに何回か出ていて、白人男性のバンドをバックにスウィンギン・ロンドンを気取ったようなスタイリッシュでアーティスティックなショウをやっていて、いい意味でラウンジで十分と思っていたのだけど……メイン・ステージに昇格。姉のビヨンセが最終日の大トリだから、ってのは関係ないと思うが。彼女の場合、2枚目のアルバムでレトロ・ソウルみたいなのをやっていて、これまではそれを軸にしたライヴだったんだけど、デヴ・ハインズと組んで2012年に出したEP『True』でエレクトロとかインディ・ロックっぽいことをやり出して、また別の方向に行っちゃった。“Losing You”とかはマドンナみたいなSolange 2ダンサブルなエレクトロ・ポップだったし。なので、リアーナみたいな感じでメイン・ステージが似合ってはいるけど……時間も早かったし、客席の反応は厳しかったかな。自主レーベルで彼女が監修したコンピ『Saint Heron』も含めて、音楽的な意欲とか広がりみたいなのは、おお!と思うんだけど、Essence Fest.のような会場では盛り上がらない。

Averyラウンジ一発目として観たのは、個人的に一番楽しみにしていたエイヴリー・サンシャイン。2010年に出した“Ugly Part Of Me”がジワジワと売れて、言ってみればジル・スコットとレディシのいい部分を合体させたようなシンガー/ソングライターなんだけど、彼女は期待通り、いや期待以上。坊主頭も印象的で、シンセサイザーの前に腰掛けて、目と口をまるまると開きながら愛らしく剛柔自在に歌いまくる姿がたまらない。MCで「今日はママが観に来てるのよ~。ハッハッハァ~」とか言いながらデカい声で喋りたてる彼女は教会のプリーチャーみたいというか。“Ugly Part Of Me”は当Avery 2然合唱になったけど、最後に演ったアニタ・ベイカーの“Sweet Love”ではこれでもかとキーを上げ、ガンガンにアドリブをかまして熱唱。ダニー・ハサウェイに憧れているみたいで、弾き語りのスタイルはダニーっぽいイメージもあった。この時点で早くもMVPは彼女に決定。10年くらい前、クリス・ブランのアナンダ・プロジェクトに曲が取り上げられて、それがキッカケで来日して〈メタモルフォーゼ〉で歌ったこともあるみたいだけど、改めてソロで来日してほしいな。
PJあと、この時間帯のラウンジでは、2年前にEssenceFest.主催のコンペティション〈R&B Star Search〉で優勝したグレタ・プリンスとか、〈Covergirl〉ステージでは、昨日に続いてジャネル・モネイ一派のディープ・コットンとかのライヴがあったんだけど、それはパスしてPJモートンの会場へ。PJをEssence Fest.で観るのは2度目。今年はYMCMBから新作『New Orleans』を出した直後ということで、アルバム・タイトルがそのものだし、観ないわけにはいかないという。さすがに前回よりお客さんも増えていて、これまで以上にR&Bシンガー然としてたかな。盛り上がったのは、曲が浸透しているせいか、前作『Walk Alone』収録の“I Need Your Love”とかだったかな。


■レディ・ソウル勢の快演とビラルの怪演
Keyshiaソランジュに続くメイン・ステージは、去年に続いて2年連続出演となるキーシャ・コール。キーシャは、Essence Fest.において今やメアリー・J.ブライジと同じくらいに欠かせない存在になっている。ステージは去年とそれほど変わりなく、新曲を交えながらも、いい意味で“お約束”。ソウル・クラシックスのメドレーにしてもそうだし、“Love”や“I Remember”で盛り上がるあたりも含めて。わりと踊るので、歌がついていってない感じもあるけど、そういう雑なところも含めてキーシャかな、と(笑)。
 Leelaこの後、ラウンジで観たのがリーラ・ジェイムズ。彼女はデビューした時の初来日公演が印象的で、チャーチ・ルーツを剥き出しにした絶唱に打ちのめされたけど、インディとメジャーを行き来してる間にさらにタフになって、やさぐれた雰囲気さえ感じさせる(笑)。ヴォーカルも怒号のよう。クラシックなソウルとか黒人としてのアティテュードを追求しようとするがあまり、非黒人が黒人に憧れて昔のソウル感を出そうと腐心しているのに似て、ちょっと重いというか、トゥーマッチだったりもする……。それだけにローリング・ストーンズの“Miss You”なんかを歌うとしっくりくるのだけど。
Treyラウンジではブリジット・ケリーとかF・ストークスのショウもあったけどパス。一方、メイン・ステージはトレイ・ソングスだったが、彼はしょっちゅう出てることもあって、これまたパス。ただ、今の彼がR・ケリーを追う存在になっていることは確かで、デビュー時に故アーメット・アーティガンが「オーティス・レディング以来となるアトランティックの逸材」と大袈裟な賛辞で送り出したことも、今となっては、間違いじゃなかったかも……と思ってしまうほど。次はちゃんと観ておこうと思う。
 Faithその後、ジョディ・ワトリーやビッグ・ダディ・ケインを泣く泣くパスして、ラウンジで観たのがフェイス・エヴァンス。さすがに超満員で、前半の“You Used To Love Me”とか数曲だけ観て移動しちゃったんだけど、後で訊いたら自分が移動した直後に“Soon As I Get Home”でケリー・プライスが飛び入りして熱唱したという……帰国後にYouTubeの映像を観たけど、これは悔しかったなぁ。
Bilalフェイスを短時間で出ちゃったのは、同時進行でビラルのステージがあったから。しかも、このステージ、バンド・メンバーにフィリー在住の日本人ギタリスト宮崎大氏(今年のグラミー賞では、バンド・メンバーとしてだが、タイ・トリヴェットの新作で2冠に輝いている)とスティーヴ・マッキー(ドラムス)が参加しているというので観逃せなかった。〈Covergirl〉のステージで、ジャネル・モネイがビラルを紹介するってのも不思議な感じがしたけど、エキセントリックな音楽性はモネイと相通じているとDaiいうか。最新作『A Love Surreal』からも何曲か披露してくれて、メロウでサイケな音空間を生み出していた。ビラルの気取り方はプリンスとかモーリス・デイの雰囲気そっくりですね。宮崎大の超絶ギター・ソロもあったけど、あれがどの曲だったか、ちょっと思い出せない。一番盛り上がったのは初期の“Sometimes”。これが大合唱になって、そうなのかぁ、と。

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soul_ringosoul_ringo  at 23:20  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! Live | Essence Music Festival